農林水産省は8月4日、「2023年1―6月(上半期)の農林水産物・食品の輸出実績」を取りまとめ、公表した。農林水産物・食品の輸出額は、前年同期比9.6%増の7144億円となり、上半期として過去最高を更新。多くの国・地域で新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が解除され、外食向けが回復したことや、小売店、EC向けの販売も引き続き堅調だったことに加え、円安により海外市場での競争環境が改善したことで、多くの品目で輸出額が伸び、総額も伸びた。
品目別の実績を見ると、輸出額の増加が大きい主な品目は、真珠(223億円、前年同期比129.3%増)、清涼飲料水(273億円、同23.5%増)、牛肉(262億円、同22.4%増)、たばこ(96億円、同89.4%増)、ホタテ貝(調製)(80億円、同93.7%増)など。真珠は、香港での宝飾品の国際見本市が4年ぶりに開催されたことにより高品質な日本産真珠の需要が喚起されたことが輸出増につながった。
清涼飲料水については、中国を中心に、外出機会の増加、健康志向の高まりにより加糖飲料や健康・美容系飲料の需要が増加。牛肉については台湾、香港を中心に外食需要が高まったことなどが輸出増の要因になったとみられる。
また、たばこ、ホタテ貝(調整)も香港を中心に需要が高まったことで輸出が増えた。
一方、漁獲量が減少したさば(57億円、前年同期比48.7%減)はアフリカ、東南アジア向け輸出の大幅減により輸出額が減少、日本酒(200億円、同14・4%減)も、特に米国向けの輸出がインフレで苦戦したことにより減少した。
輸出額の増加が大きい国・地域は、香港(1154億円、前年同期比25.8%増)、中国(1394億円、同16.2%増)、台湾(674億円、同11.9%増)、韓国(356億円、同19.9%増)など。前年同期に輸出額増加1位だった米国向けの輸出(964億円、同7.9%減)は、高インフレによる消費減退の影響を受けて減少した。
詳細は、https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/230804.htmlを参照。
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