日本商工会議所は11月16日、政府が策定に向けて検討を進めている「長期低排出発展戦略」に対する意見書を東京商工会議所と共同で取りまとめ、公表した。長期低排出発展戦略は、長期的な温室効果ガス低排出型の発展を目指すための取り組みの方向性をまとめるもの。日本を含む全てのパリ協定締約国が2020年までに国連へ提出するよう招請されている。日本は、16年に閣議決定された「地球温暖化対策計画」で、長期的目標として、50年までに80%の温室効果ガス排出削減を目指すことを掲げている。
同意見書では、50年のビジョンとして、「世界全体の温室効果ガス排出量大幅削減のためには、日本が持続可能な低炭素化を図るための革新的イノベーションをけん引することが必要。そのためには、イノベーションを起こす基盤である日本の産業、その大宗を占める中小企業が元気であることが重要」と指摘。また、地球温暖化対策とエネルギー政策は表裏一体の関係であることから、エネルギー政策の要諦である「3E+S」を前提とするよう求めている。
さらに、長期ビジョン策定の視点と政策の方向性として、①経済と環境の両立、②エネルギーセキュリティー・経済性維持向上のための高効率・低炭素型石炭火力の活用、③イノベーション促進のためのエネルギーコスト削減や自主的取り組みへの支援強化、④安全性を確保した上での原子力発電の早期運転再開と新増設の議論の開始、⑤低炭素化に必須である地方創生とCO2排出削減につながる強靭化――の5項目を提示している。
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