情熱ぴーぷる第21回女性起業家大賞グロース部門特別賞

2023/12/23

ラヴレターズ女性起業家大賞月刊石垣2023年11月号豊川商工会議所愛知県豊川市

写真撮影で家族の大切さに気付いてもらえる時間を提供する

株式会社ラヴレターズ　代表取締役　林真梨（はやし・まり）

女性も長く働ける職場づくりを目指す

「どの写真も同じに見える」―私の長男が初めての誕生日を迎え、写真館を訪れて記念写真を撮った時に感じたことです。どの子どもも同じように正面の笑顔を撮影する、量産型の写真にがっかりしました。そのことをきっかけに、写真について勉強するようになり、やがて写真館に入社しました。そこでは撮影技術や接客を学べたものの、女性が子育てしながら働き続けるには厳しい環境でした。女性が長く働ける職場をつくり、撮影に来たお客さまに特別な時間を提供したい。そう考えるようになり、独立を決意しました。

資金調達や人材確保などに苦労し、開業までに２年以上かかりました。やがて愛知県豊川市に開いたのは、一組の家族ごとに完全貸し切りのフォトスタジオです。衣装やヘアメイクは、スタイリストと美容師が提案してコーディネート。お客さまに選択する労力をかけず、自分では選ばないような服装や髪型で、新しい魅力を引き出せるようにしました。写真についても、撮ったものの中からカメラマン自身が選定します。笑顔でなくても、何気ない表情が美しいこともあるのです。リラックスしてもらえるように話しかけ、お客さまらしい表情を引き出しています。

さまざまな構図や表情の写真を85カット選び、データをお渡しするとともにスライドショーを上映します。日常の中に隠れた、家族の存在の大切さに気付いてもらえるように、と願っています。私が子育ての苦労を知っているからこそ、子育て中の家族には育児を肯定する時間を過ごしてほしい、と強く思うのです。

人も地域も元気にするフォトスタジオに

特別な時間を提供するためには、魅力的な人材が欠かせません。正規雇用化、産休育休の取得の推奨などにより、スタッフが長く働ける環境を整えました。カメラマンやスタイリストなど、女性も当社で活躍しています。スタッフが幸せであってこそ、最高のおもてなしができると思うのです。

スタッフたちの頑張りにより、再来店してくれるお客さま、紹介により来店してくれるお客さまが少しずつ増えていきました。経営が軌道に乗ってきたことで、２店舗目をオープンできました。現在は「ライフスタジオ豊川店」と「ライフスタジオ浜松店」を運営しています。豊川店は豊川稲荷門前の商店街、浜松店は浜名湖からアクセスが良い所にあります。どちらもワクワクする場所、という視点で選びました。お客さまには、撮影する間だけでなく、来店するまでの道中も楽しんでほしいと思うのです。そのため、商店街のイベントなどには積極的に参加しています。

多くのお客さまが訪れることで、地域が元気になり、さらに魅力的な場所になることも目指しています。人生の節目に何となく行く場所ではなく、向かうのが楽しいフォトスタジオであるために、これからも地域一体で、スタッフとともに歩んでいきたいです。