日本商工会議所の小林健会頭は1月22日、首相官邸で行われた政労使の意見交換に出席し、賃上げ原資の確保に向け、「大企業には『中小企業との共存共栄』、消費者には『良いものには値が付く』という考え方を浸透させていくことが必要」と述べた。会議には、日商の小林会頭のほか、使用者側から経団連の十倉雅和会長、全国中小企業団体中央会の森洋会長、全国商工会連合会の森義久会長、労働者側からは連合の芳野友子会長、政府からは岸田文雄首相のほか、林芳正官房長官、武見敬三厚生労働大臣らが出席。2024年春季労使交渉に向け、意見交換を行った。
小林会頭は、日商調査で24年に「賃上げ実施意向あり」と回答した企業のうち6割が人手不足を理由とした防衛的賃上げであったことなどに触れ、「賃上げのモメンタムは力強いとはいえない」と指摘。賃上げ原資の確保に向けて、まずは中小企業自身が自己変革による付加価値拡大に取り組むとともに、「社会全体で価格転嫁を新たな商習慣にしていかなければならない。大企業には『中小企業との共存共栄』、消費者には『良いものには値が付く』という考え方を浸透させていくことが必要」と述べた。
岸田首相は、「わが国全体で賃金を引き上げていくためには、中小・小規模事業者における賃金引き上げが不可欠」と述べ、「適切な価格転嫁を、わが国の新たな商習慣としてサプライチェーン全体で定着させる」との方針を表明。労務費の転嫁率が低い業種の各団体に対する自主行動計画の策定や転嫁状況の調査・改善を要請し、フォローアップのため、連絡会議の設置を関係閣僚に指示するなど、政府として、労務費の価格転嫁対策に全力で取り組む考えを示した。
詳細は、https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/seiroushi/dai3/gijisidai.htmlを参照。
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