日本商工会議所はこのほど、「中小企業などの成長資金調達の多様化に向けた提言~未上場株式や新事業への投資環境整備を~」を取りまとめ、公表した。
地域の中小企業やスタートアップの資金調達円滑化に向け、投資型クラウドファンディング(CF)の市場拡大、未上場企業の株式に関する発行・流通市場の整備など地域におけるエクイティファイナンスの発展のために必要な具体策などを提案。今後、金融庁など関係各方面に提言内容の実現を働きかける。
提言では、「投資型CFが普及していない」「合理性を欠く企業情報開示制度により出資募集が普及していない」などの制度上の課題と改善すべき方向性を提示。具体的な対応策として、「投資家向け情報開示が免除されている少額公募の上限額の引き上げ」「投資型CFの抜本的な拡充」「地域の投資家からのエクイティ調達の活性化」「未上場企業の株式発行・流通市場の整備」などを示している。
少額公募の上限額については、現行の1億円を10億円以上に引き上げるよう要望。また、証券会社などによる募集の支援、多数の投資家への対面での勧誘・説明を可能とする整備も求めた。 株式投資型CFの募集額については現行の上限額(1億円未満)の大幅な引き上げと、一定の投資判断能力が認められる特定投資家からの募集は別枠とすることを提案。また、一般の投資家1人当たりの投資上限額を、現行の一律1年間1社50万円以下から、年収・資産などに応じた上限額へと引き上げるよう求めている。
地域の投資家からのエクイティ調達活性化に向けては、一般投資家からのエクイティによる資金調達環境整備のため、3カ月間に49人(社)の投資家へと勧誘が制限されている少人数私募制度の拡充を要望。未上場企業の株式発行・流通市場の整備に向けては、証券会社による未上場株式の投資加入の解禁などを要望している。
提言は日商産業・地域共創専門委員会のレポート「『共感』が地域に人や資金を呼び込む」の作成の過程で中小企業の資金調達の浮かび上がった課題に対し、政策提言として取りまとめたもの。レポートでは、「共感ビジネス」と地方版スタートアップによる地域活性化の可能性と、その後押しのために必要な施策など示している。
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