子どもたちの笑い声があふれる職場から女性に役立つ「魔法のタイツ」を届ける
魔法のタイツ株式会社 代表取締役 増田 美佳(ますだ・みか)
三つの感動を与える商品づくりを目指す
今から9年ほど前、海外製の「はくと美脚に見える着圧タイツ」に出合い、可能性を感じて起業しました。当時の国内市場で着圧タイツは、むくみ対策のものが主流でした。これまでと違ったアプローチにより大きなマーケットになると感じ、「魔法のタイツ」としてショッピングサイトで発売したのです。多くの女性からの好評を受け、魔法のタイツシリーズをはじめ、さまざまなレッグウェアやインナーを企画し、販売してきました。お客さまには「商品を手にした感動」「着用した感動」「購入後の感動」を届けたいと思っています。すぐに捨てられるものではなく、長く大切にしてもらえる商品づくりを心掛けています。
困難を乗り越えより良い職場環境に
5年前、困難が訪れました。共に経営してきた夫が重い病に倒れ、手術へ向けて入院することになったのです。同じ時期に発送を委託していた取引先が倒産し、預けていた商品が全て戻ってきました。商品は事務所の天井まで積んでも入りきらず、駐車場まで山積みになりました。新作の予約注文やショッピングサイトでのセールも重なり、オーダーが増える中、スタッフである妹と私の二人で発送作業をしても間に合いません。到着が遅いことに対し、お客さまからのクレームが目立つようになりました。
アウトソーシングに頼り過ぎていたのではないか。毎日、明け方まで梱包などを行いながら、これまでの経営を反省しました。病気の父親を心配して不安定になる子どもたちを励ましながら、今後は家族の時間を大事にする会社にしていくことも決意しました。当社がどのように存続し、どんな社会貢献をしていくのか、考える日々でした。
広い所に移転してスタッフを増やし、子どもと一緒に出勤できる会社にする―たまっていた商品の配送が終わるころ、そんな答えを出せました。人材を募集し、ママさんスタッフが集まりました。子どもたちは、いつでもお母さんと職場に来ることができます。子ども部屋で宿題をした後は、キッチンでおやつを食べてもいい。お母さんのところに来てもいい。商品に触らない、けがをしない、といったルールを守れれば何をしても自由です。赤ちゃんは転ばないよう、みんなで見守りながら作業しています。「みんなで育てる」が私たちのモットーです。
子連れ出勤ができる職場にしてからスタッフに恵まれ、毎日が笑いにあふれる会社になったと思います。不思議なことに、経営も安定しました。職場に子どもがいる環境というのは、今は珍しいかもしれません。今後、日本中で増えていけば、出生率や教育格差が改善する、明るい未来が見えてくるのではないでしょうか。そのような未来を期待し、今後もにぎやかな会社から、お客さまに喜ばれる商品を届けていきたいと思います。
会社データ
社名 : 魔法のタイツ株式会社
所在地 : 埼玉県さいたま市大宮区三橋2-539-3 ランドビル3F
電話 : 050-3038-5008
創業 : 2015年
事業概要 : 小売業(着圧タイツを中心としたレッグウェアと機能性インナーの企画・製造・インターネット販売)
HP :https://shop.mahounotights.co.jp/
【さいたま商工会議所】
※月刊石垣2024年3月号に掲載された記事です。
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