商品の磨き上げが売り上げ増に
全国の自治体、商工会、地方銀行が力を合わせ、地方の食・工芸・雑貨・観光を全国・世界レベルのヒット企画に育てる「にっぽんの宝物」プロジェクト。その地方大会を勝ち抜いてきた事業者が東京に勢ぞろいして、ショーアップされたステージでプレゼンに挑む。そんなJAPANグランプリが開催され、友人が関わっていた内山肉店の南魚沼産雪ひかりポークを使った新ジャンルのチーズケーキ「チョリチロール」がスイーツ部門で審査員特別賞を受賞しました。
そのままでも温めても濃厚な後引くおいしさと高い評価を得たようです。本当はグランプリが欲しかったと友人は悔しがっていましたが、それでも表彰されて、全国的にも認知される機会を得たことは大きなプラス。さらに言えば、ブラッシュアップを重ねる機会を得たことで品質が大幅に向上し、今後の売り上げアップが大きく期待できそうと喜んでいました。
確かに日本の地方には良いものがあります。しかし、良いといわれながら売り上げが伸びない。結果として消えてしまった商品をたくさん見ました。どうしてなのか? 理由はブラッシュアップができていないからだと思います。
新たな視点で考え課題を見つける
ちなみにブラッシュアップとは「磨きをかけること・さらに良くすること」いう意味。企画やプロジェクト、書類、学習内容の見直しなど、つくり上げたものやスキルをさらに現状よりも良くすることを指して「ブラッシュアップする」と表現します。磨き直しを含めて、今以上に腕やスキルを磨き上げるときに使われます。
すでに当初の予定では完成だった商品でも、さらにブラッシュアップを行い何度も試行錯誤すれば、質が高まり、高い評価や消費者のリピートにつながることがよくあります。ただ、実行は簡単ではありません。当事者だけでブラッシュアップを行っても視点が一義的になりがちで、新たな手立てを見いだすのは簡単ではありません。
そこで、異業種とか、畑違いの人を加えることで活性化を試みることがよくあります。前述の友人も食品とは縁が遠いIT業界の経営者でしたが、ブラッシュアップに関わり、商品企画の改良に大きな貢献をしたようです。
どうしても物事の捉え方、判断の仕方は自分の価値観や過去の成功体験に縛られがちになります。でも、それで正解が見いだせるのか。別の角度から考えることで新たな課題や改善点が見えてきた場面に遭遇したことは何回もあります。売れる商品や企画を考えるためには取り組んでいきたい方法ではないでしょうか。
(立教大学大学院非常勤講師・高城幸司)
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