障害児者が社会参加できる環境の実現へ向け 多岐にわたって事業を展開
一般社団法人sukasuka−ippo 代表理事 五本木 愛(ごほんぎ・あい)
障害があって生まれても愛するわが子には変わりない
私の6番目の娘は、アンジェルマン症候群という障害を持って生まれました。障害児が通う幼稚園へ入園した際、私は似た境遇の母たちと出会い、障害の種類が違えど悩みや不安に共通点が多いこと、わが子を愛する気持ちは変わらないことを知り、抱える課題を自分たちで解決していこう! と活動を始めました。法人化して8年目を迎え、現在は6事業を展開しています。
当事者だからこそ分かる課題を解決できるように
障害児の母たちは、まとまった時間が取れず、通勤して働くことが困難な場合が多くあります。そこで、横須賀商工会議所と連携し、隙間時間に在宅で地域企業の業務を請け負う「よこすかテレワーク」を2017年に始動しました。その後、横須賀市などとも連携し、多くの障害児保護者、ひとり親、障害者の労働につなげています。
18年、障害がある子もない子も共に地域で生きる“インクルーシブ学童”として「sukasuka-kids」を開所しました。34人までの児童を受け入れ、「共に育ちあう」を理念に長期的な運営をしています。
19年には未就学の障害児、健常児の一時預かり、ひとり親家庭のお子さまの預かりを目的に認可外託児所を開き、それまで預け先がなく不便さを感じていた人にも利用していただき、保護者の息抜きにつながる役割も担えるように運営してきました。市内で最も待機児童が多いとされる久里浜地域で、保育園へ入園できなかったお子さまをお預かりし、制度の隙間にこぼれてしまうお子さま、保護者の受け皿としても活用いただいています。その後、公的な一時預かり事業としてリニューアルし、定員 25人の一時預かりと緊急一時預かりを行い、子育て世帯のサポートを続けています。
同年、障害のある人も安心して来られる完全予約制の美容室を開きました。美容室でじっと過ごすのが困難な障害児も安心して来店でき、保護者にもリラックスできる時間を提供。育てづらさを抱える障害児育児を、よりゆとりを持ってできるようになってもらいたいという思いで運営しています。
20年より市の委託を受け、久里浜地域の就学援助を受けている中学3年生を対象に、高校進学に向けて学習支援を行い、軽食も支援してきました。さらに翌年からは地域の中学1~3年生の支援の必要な生徒に学習支援などを行い、将来の選択肢が一つでも多く持てるようサポートを継続しています。
22年、支援が必要な中高生を対象に、横須賀商工会議所と共同事業の放課後等デイサービスを開所。学校の長期休暇を使い、地域の企業へ職業体験を繰り返すシステムを構築し、本人にとっても受け入れる地域企業にとっても、スムーズな障害者雇用、定着につながるようサポートしています。
今まで、自分たちが必要だと思う事業を次々に展開してきました。これらの事業を大きくし、地域の中で障害児者が当たり前に社会参加できる環境づくりを進めていきたいと思っています。
会社データ
社名 : 一般社団法人sukasuka-ippo(すかすかいっぽ)
所在地 : 神奈川県横須賀市久里浜4-15-2-2F
電話 : 046-876-6479
創業 : 2016年
事業概要 : 児童福祉・障害福祉・理美容・就労支援事業
HP :https://www.sukasuka-ippo.com/
【横須賀商工会議所】
※月刊石垣2024年6月号に掲載された記事です。
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