日本商工会議所の小林健会頭は7月1日、定例の記者会見で記録的な円安水準が続いている為替動向について「円安の影響は看過できない状況に入りつつある。中小企業の業況の悪化、苦戦の一つはこの円安にあると言わざるを得ず、憂慮している」との考えを述べた。
小林会頭は「日米の金利差、世界経済の影響、人手不足の状況など総合的に含めて、現在の為替となっており、為替介入だけで円安が是正されるわけではない。しかし、日本は資源が乏しく、資源を輸入して製品を輸出する貿易立国である。 その日本にとって為替は、国益の最たるもの。投機筋の思惑で為替を動かされるのは産業人として非常に困る」と懸念を表明。「これを防ぐためには、金融・経済政策によって国としての姿勢を見せることも大事。中小企業の立場から言えば、ある程度、為替の見通しが立つような政策を取ってもらいたい」と述べた。
厚生労働省の中央最低賃金審議会での議論が始まった最低賃金については「焦点は支払い能力」と指摘。「審議会委員には、具体的なそれぞれの企業の支払い能力をよく把握し、議論してもらいたい。また、支払い能力を論じるに当たっては、取引先への価格転嫁や消費者への値上げができるか、為替の動向などさまざまな要素も入ってくる。納得感のある審議をお願いしたいということに尽きる」と述べた。さらに、昨年は中央が示した目安に対し、地方での大幅上乗せが相次いだ点に触れ「隣県との差を意識し競争的に引き上げる地域もあるが、地方審議会においても各地域の法定3要素、特に企業の支払い能力の実態を踏まえた審議をお願いしたい」とくぎを刺した。
最新号を紙面で読める!