私の趣味は、「蝶」です。「会頭の趣味は、夜の蝶ですね」などと軽口を言われますが、正真正銘「蝶の採取」を趣味にして、はや70年近くになります。
私の住む竹田市は、九州の中央部にあり、くじゅう連山をはじめ、日本百名山に選定された九州を代表する山々に囲まれた中山間地にあります。中心市街地は、豊後岡藩の城下町が発展してきたまちで、400年の歴史を持ち、長きにわたり受け継がれてきた文化の薫る、美しい景観が残っています。私は、その城下町から離れ、山間を分け入った祖母山麓の山里に生まれました。生家は、主に登山者や行商人などが利用する宿泊施設を営んでいました。普段は田舎故、自然との対話の毎日でしたが、よそから宿泊客が訪れているときは、外の世界の話を教えてくれ、このひとときが楽しみな少年時代でした。
こうした環境の中、昆虫採集を行うフィールドワークで、大学の先生が夏に学生を連れ、1カ月間滞在したことがありました。そのご縁で、先生から昆虫採集の道具一式をいただいたことが、「蝶」の魅力に取りつかれるきっかけとなったのです。以来、高校では山岳部に所属し、九州の山々を昆虫採集で全踏破しました。就職も、全国各地に行く機会のある旅行業に飛び込み、添乗員の傍ら昆虫採集にいそしむという、趣味と仕事を兼ねた生活をしていました。しかし、家業を継ぐこととなり帰省。現在は本業と不動産賃貸業で地域に資する企業として事業にまい進しています。
人と人との出会いは、誠に数奇なものです。収集した蝶の標本は数千頭に及び、私の趣味を知る方々からの要請で、個展を毎年開催しています。市内外から多くの方にご来場いただく中、目を輝かせて標本に見入る子どもたちと接する時、この機会が彼らの「未来へ紡ぐ出会い」になってくれればと、喜びと期待を抱きます。
私たちは今、かつて経験したことのない世界情勢、また、経済状況の中を歩んでいます。また、減少を続けている人口は、地方ではさらに厳しく、地域経済の縮小や人手不足が大きな課題となっています。そうした中、当所では今できること、そして将来につながることに取り組み、「地域に頼られる商工会議所」を目指しています。プレミアム商品券事業では、「電子商品券」を導入し、市民に身近なDXとして、キャッシュレス化を図っています。また、事業所の人手不足対応を支援するため、国から監理団体の許可を得て、外国人技能実習生などの受け入れ事業にも着手しました。こうした取り組みが事業者や地域経済のためになり、地域の存続につながればと思っております。
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