グローバル企業や大手投資ファンドの視線が今、インドに向いているのは間違いない。だが、インドの明るい未来を全面的に確信している人はまだ多くないだろう。世界最大の人口大国は確かに成長の勢いを感じさせるが、「世界の工場」と呼ばれ始めた頃の中国のような「発展への一本道」が明確に見えてはいない。「脱中国」の必要性とインドの潜在力に多くの企業は賭け、足を踏み入れつつある。
久しぶりに訪れたデリーは昔と変わらぬ「カオス」だった。気が遠くなるような道路の渋滞と人を拒むような大気汚染と高温、腐臭漂うスラム、道路脇に寝そべる牛たち。成長の成果は各所で見える建設ラッシュと走る車の新しさ、高架鉄道などにはっきり表れてはいるものの、取り残され、解決を待つ人々や物事の巨大さに重い未来も透けている。
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