輪島商工会議所(石川県)はこのほど、「輪島市の産業復興ビジョン~ローカルファーストによる新たな価値の創造~」を取りまとめた。輪島市は能登半島地震や豪雨災害で大きな被害を受け、現在でも被災の爪痕が残る。同ビジョンはそのような現状の下で、一日も早い復旧・復興が実現できるよう、30年後の将来を見据えて経済産業とこれらの基盤となるまちの「ありたい姿」をイメージしてつくられた。
同ビジョンには同所青年部、女性会、部会などの約100人が関わり、「オール輪島」でつくられた。「ありたい姿」への道筋を経済・産業面に特化して示しており、あらゆるステークホルダーを巻き込みながら、新たな産業や付加価値を創出することを目指している。その過程で、2035年ごろには1人当たりGRP(域内総生産)を現在の318万円から700万円に拡大することも目標としている。
「ありたい姿」は、三つの柱で構成されており、それぞれの柱について、目指すべき将来のイメージが想定されている。
一つ目の柱である「稼ぐ観光産業の構築」では、輪島塗の工房や朝市の散策など輪島市を目的地とする感度の高い観光客に「輪島市ならでは」の商品、サービスが提供されている状態を目指す。
二つ目の柱「新たな産業立地可能性の創出」では、洋上風力発電などのクリーンなエネルギーを目当てに、製造業のみならず、サステナブル観光やカーボンクレジット商品の開発拠点となり、移輸出産業である第1次産業の6次産業化とも相まって新しい産業が立地している状態を目指す。
三つ目の柱「まちづくりそのものの産業化」では、生活する上での課題をビジネスで解決するとともに、そのために必要なナレッジ(知恵やノウハウなど)を都市圏の人材にも求めて、民間ベースでも暮らし続けたくなるまちづくりを行い、若者がビジネスをしたくなる環境を整えている状態を目指す。
同所の久岡政治会頭は11月21日、都内で日本商工会議所の小林健会頭に同ビジョンを手渡し、意見交換を行った。久岡会頭は「(ビジョンを)つくりっぱなしではなく、実行していきたい」と話した。
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