日本政策金融公庫(日本公庫)総合研究所は11月27日、「2024年度新規開業実態調査」を公表した。同調査は1991年度から毎年実施。開業者の属性や開業の動機、開業費用、開業後の課題や満足度などを調査・分析している。
今回は、日本公庫が23年4~9月に融資した企業(小規模事業者)のうち融資時点で開業後1年以内の企業7658社(不動産賃貸業除く)を対象に、24年8月に調査票郵送形式で調査し、1990社から回答を得た(有効回答率26.0%)。
調査の結果から開業者の属性を見ると、開業時の年齢は「40代」の割合が37.4%と最も高く、次いで「30代」(28.6%)となった。開業時の平均年齢は43.6歳で、調査開始以来、平均年齢は上昇傾向にある。開業者に占める女性の割合は25.5%と調査開始以来最も高くなった。
開業直前の職業は「正社員・正職員(管理職)」の割合が41.1%で最多。「勤務経験」がある割合は97.9%、「斯(し)業経験」(創業する事業に関連する業務経験)がある割合は83.1%、「管理職経験」は66.7%だった。
開業の動機は「自由に仕事がしたかった」(56.9%)が最多。次いで「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」(46.0%)、「収入を増やしたかった」(45.1%)の順。
開業した業種は「サービス業」の割合が29.2%と最も高く、「医療・福祉」(15.7%)、「飲食店・宿泊業」(14.5%)と続く。23年度と比べると「情報通信業」「運輸業」「小売業」「医療・福祉」「教育・学習支援業」などの割合は低下した。
開業費用は「250万円未満」(20.1%)と「250万~500万円未満」(21.0%)で4割超を占める。開業費用の平均値は985万円、中央値は580万円で少額化の傾向にある。また、開業時の資金調達額は平均1197万円で、平均調達額において「金融機関などからの借り入れ」が占める割合は65.2%(平均780万円)、「自己資金」が24.5%(平均293万円)となり両者で全体の89.6%を占めた。
現在の月商は、「100万円未満」が40.2%、「100万~500万円未満」が43.9%。現在の売り上げ状況が「増加傾向」である開業者の割合は60.0%と22、23年度に比べて高い。採算状況は「黒字基調」が67.3%、「赤字基調」が32.7%となっている。
開業時に苦労したことの上位は「資金繰り、資金調達」「顧客・販路の開拓」「財務・税務・法務に関する知識の不足」など。開業への総合的な満足度は「かなり満足」(31.0%)と「やや満足」(43.9%)を合わせて74.9%が満足としている。満足度を項目別に見ると、「仕事のやりがい(自分の能力の発揮)」が84.1%と高く、「ワークライフバランス」は53.2%、「事業からの収入」は31.1%となっている。
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