JR岐阜駅は意外に大きい。岐阜県図書館は、入ってすぐの吹き抜け構造が見事。難読地名の各務原市には、ねずみ小僧次郎吉の碑が立つ。ちなみに、岐阜県に入る前の高速の諏訪湖SA(サービスエリア)には温泉がある……。
白状すると、前記の場所にはいずれも行ったことがない。にもかかわらず、なぜあたかも行ってきたかのように語ることができるのか。最近、私がYouTubeで実況プレーをしているゲーム作品『風雨来記(ふうらいき)4』(PlayStation4/Nintendo Switch対応ソフト)のおかげである。『風雨来記』は、2001年に発売されたPlayStation用の恋愛アドベンチャーゲームだ。1作目と3作目の舞台は北海道、2作目は沖縄県、そして、4作目が岐阜県である。
プレーしてすぐに分かるのが、制作サイドのツーリングと旅へのこだわりだ。バイクや風景、キャンプの執拗(しつよう)ともいえる緻密な描写によって、本当に旅をしているように感じられる。私はバイクに乗ったこともなければ野宿をしたこともないにもかかわらずだ。
それにしても、なぜ本作の舞台は岐阜なのだろうか。何か関わりがあるのか気になって調べてみると、『風雨来記4』を制作した「日本一ソフトウェア」が岐阜県各務原市に立地している。日本一ソフトウェアといえば、『魔界戦記ディスガイア』『夜廻』『流行り神』シリーズなどの名作を生み出してきたゲーム制作会社である。 「岐阜、行ってみたくなってきたなぁ」と岐阜市内のゲームショップを調べていたら「おじゃま館 正木店」がヒットした。おじゃま館は関西を中心に店舗を展開する中古ゲームショップで、ゾンビ先生の行きつけである。なぜ1店舗だけ岐阜に……。これは行ってみるしかない! コンテンツツーリズムのキーポイントは、コンテンツをコアにした「体験の拡張」なのだ。「コンテンツツーリズムの現場」は至るところにある。