日本商工会議所の小林健会頭は2月21日、政府の「第6回未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」に出席し、「価格転嫁は、いまだ道半ばの状況」と指摘。トップ企業に裾野まで見据えた転嫁などを呼び掛けた。会議には、政府側から赤澤亮正経済財政政策担当大臣、武藤容治経済産業大臣らが、民間からは小林会頭のほか、日本経済団体連合会の十倉雅和会長、連合の芳野友子会長らが出席。パートナーシップ構築宣言のフォローアップと大企業と中小企業の共存共栄に向けた今後の取り組みなどについて意見交換を行った。
小林会頭は、日商調査において、「価格協議できている」企業の割合は74%と進捗(しんちょく)しているものの、「4割以上、価格転嫁ができている」と回答した企業は52%と約半分であったことなどを挙げ、「価格転嫁は、いまだ道半ばの状況」と指摘。また、「パートナーシップ構築宣言」企業数の拡大推進に当たり、「宣言の認知度不足」「中小企業の参画」「業界やサプライチェーンの古い取引慣行の存置」――の3点が課題となっていることを主張した。
「宣言の認知度不足」については、発注者が知らないケースが多いことを指摘し、「粘り強い制度の周知などが必要」との考えを表明。「中小企業の参画」については、受注者でもあり、発注者でもある中小企業から、「価格転嫁を十分受けられていない中、転嫁してあげたいが原資がない」などの声があると述べ、トップ企業に、裾野まで見据えた転嫁の実施を呼び掛けた。また、「BtoC取引で転嫁が難しいとの声も多い」と指摘し、「良いモノやサービスには値が付く」という価値観を広く浸透させていく必要性を主張した。
「業界やサプライチェーンの古い取引慣行の存置」については、「全体の付加価値を高める観点で、慣行の見直しを進めてほしい」と呼び掛けるとともに、日商として、価格転嫁の成功事例の紹介や、価格交渉力向上を伴走支援する中で、中小企業の意識改革を促進する方針を表明した。
赤澤大臣は、「パートナーシップ構築宣言の重要性について、改めて認識を共有できた」と述べ、民間側に宣言拡大と実効性向上への取り組みに協力を求めるとともに、関係省庁に、大企業の宣言拡大に向けた働き掛けや、補助金などインセンティブの拡充の積極的な検討などを指示した。