福井商工会議所は、4月15日、「福井県アスリートセカンドキャリアセンター」を立ち上げた。同所を中心とした福井県経済団体連合会、福井県、県内五つのスポーツチーム(バスケットボール、ハンドボール、サッカー、フットサル、ホッケー)が連携協定を締結。経済界、県、スポーツ界が一体となって、アスリートの引退後までを見据えた就業機会確保を行う事例として、新しいスポーツ振興のモデルになることが期待されている。
同センターの設立の背景には、スポーツのプロリーグ化などにより全国各地でアスリートが活躍する機会が増える一方、現役引退後のセカンドキャリア形成が難しいアスリート側と、慢性的な人手不足や人口減少の加速を見据えた多様な採用ルートの確保が求められる企業側の双方の課題がある。同センターでは、引退後のアスリートが県内で新たなキャリアを築いていけるよう後押しするとともに、地域経済の活性化やチームのブランド価値向上、地元企業の人材確保への貢献を目指す。
同所は、同センターの事務局として企画、企業とのマッチング運営を担う。今後、①アスリートのキャリア形成サポート②アスリートと企業のマッチング③県内企業へのアスリート人材情報の提供――の3点に取り組む。
具体的には、社会人向け就職相談機関「ふくいジョブステーション」を活用し、アスリートへの就職先となる県内企業の情報提供、職業適性検査の実施、ビジネスセミナーの開催、インターンシップなどの職業見学会開催、県外出身者には移住・定住に向けた各種情報提供など多角的な取り組みを進める。
7月18日には同センター開設PRのため元女子サッカー日本代表の澤穂希氏を招いた講演会を開催するほか、ホームページ作成やパンフレットを活用した企業巡回を行う。将来的には、県内スポーツチームを通じて県外アスリート・団体への事業説明を行い、県外のアスリートの登録も促進する方針だ。
締結式に県経済団体連合会の会長として出席した同所の八木誠一郎会頭は「福井県、スポーツ界、経済界が手を取り合い、アスリートの未来を支える新たな一歩を踏み出した。経済界も就職やリスキリングなどの機会づくりを通じてアスリートの福井でのセカンドキャリア形成を全力でサポートする。実効性のある取り組みを進め、福井発のアスリート支援の先進モデルとして全国に発信していきたい」と述べた。