令和元年、新たに3商工会議所からの登録なども追加され、地域団体商標の登録件数は現在671件(令和元年11月30日時点)となった。観光集客や地域活性化につながる資源を活用した、今後の取り組みが注目される。
尼崎
「尼崎あんかけチャンポン」は尼崎市内の料理店26店で提供されている、あんがかかったチャンポンのこと。昭和の高度成長期に集団就職で赴任した人たちが長崎から持ち込み、同市で独自に発達してきたといわれているラーメンだ。尼崎商工会議所(兵庫県)は、同所100周年事業の一つとして青年部主体の「尼崎あんかけチャンポンプロジェクト」をスタートさせ、2014年には「チーム・尼崎あんかけチャンポン」を発足。食べ歩きツアーなどフードツーリズムとして観光集客効果を上げ、地域活性化に貢献している。
大野
大野市内で古くから親しまれている「でっち羊かん」は、でっち奉公に出た人が里帰りする際の手土産にしたことが由来といわれる庶民の和菓子だ。大野商工会議所(福井県)は2015年、名水に恵まれた大野ならではの冬の風物詩を「越前おおのでっち羊かん」と命名して地域団体商標に出願。以来PR活動を続けながらこのほどの登録に至った。今後は、中部縦貫自動車道の全線開通や道の駅の整備などを見据えて、PR活動をより一層強化していく考えだ。今年2月には恒例となった「でっち羊かんまつり」が開催される。
中津川
「中津川栗きんとん」は、生栗をゆでてつぶしたものに少量の砂糖を混ぜて炊き上げ、一つ一つ茶巾で絞った和菓子。中津川商工会議所(岐阜県)は中津川菓子組合と共に、栗の産地として知られる岐阜県の中でも中津川市を栗きんとん発祥の地としてアピールしてきた。もともとは中山道の宿場町だった同地区が、おもてなしの一環で提供してきた栗きんとん。2007年には岐阜県が全国に通用する観光資源「じまんの原石」に認定されている。現在、地元「にぎわい特産館」では期間限定で16店舗の栗きんとんが購入できる。
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