国内の労働市場では、依然として人手不足は深刻化だ。それを埋める格好で外国人労働者は増えている。政府も各種在留資格を設定し、海外からの労働力を取り込もうとしている。
2010年代半ば以降、わが国の企業は人手不足に対し、主に女性や高齢者の採用を増やして人手確保に努めたが、思ったように進まなかった。そこで、政府は外国人の在留資格制度を増やし、外国人労働者を取り込んで人手不足の解消を図った。18年に改正入管法が成立し、政府は2種類の在留資格を設けた。1号資格は技能実習の修了などで最長5年在留でき、2号資格は家族の帯同が可能で在留期間は更新できる。それ以降、在留外国人の増加ペースは加速した。
厚生労働省によると、24年10月末時点で、技術・人文知識・国際業務、技能実習などの在留資格を持つ外国人労働者は前年比12・4%増の約230万人だ。最多はベトナムの約57万人、2位は中国(香港、マカオを含む)の約41万人、フィリピンやネパールが続いた。24年の厚労省の外国人雇用実態調査によると、国内企業は、労働力不足の解消と緩和を理由に外国人を雇用するケースが最も多い。それに次いで、日本人と同等かそれ以上の活躍を期待するとの回答が多かった。国際化や多様化のために海外からの人材を受け入れる企業も目立つ。
一方、一部地域では外国人と地元住民のトラブルも発生し、共生がうまくいかないことも目立ち始めている。そうした問題を抱えたまま、労働力の観点だけを考えて外国人労働者の取り込みを先行させることは難しい。日本人、外国人双方が安心して生活するため、政府や自治体が中心となって、言葉や慣習、法規制などの教育を拡充し、外国人との円滑な共生ができる社会のインフラが必要だ。
前述の調査では、日本語など言語の能力に起因するコミュニケーションの難しさを指摘する企業が多かった。中には、研修を修了しているはずなのに、日本語での意思疎通がかなり難しいケースもあると聞く。在留資格申請などの事務負担、在留期間の短さが制約になっているとの回答も目立った。わが国と異なる生活習慣や価値観がトラブルになったとの回答もあった。人材のミスマッチ、研修やトレーニング提供のコストを理由に、定年退職した日本人を雇った方がよいとの論調もある。言語や価値観の違い、トラブル処理のコストを考えると、正規雇用者は日本人、状況に応じて非正規雇用で外国人を採用するのが現実的であると考える経営者もいる。
外国人と地元住民のあつれきも、さまざまな形で顕在化している。無免許で自動車やバイクを運転し、事故を起こすケースもあった。秩序を守らない外国人は受け入れるべきでないという強硬な指摘まである。また、外国人に日本人の就業機会が取られているとの意見もある。政府は在留資格の取得状況を全面的に点検する方針といい、日本語教育の拡充、在留資格に従った就業実態の管理を徹底することも目指している。
わが国が労働人口の減少を食い止めることは容易ではない。今後、人手の確保が難しくなり、事業に行き詰まるケースが増えることも予想される。外国人受け入れは、経済の縮小均衡をどう食い止めるかに関する重要な方策の一つだ。受け入れ態勢の整備を進めることが必要であり、政府は日本語教育に加え、文化や風習、組織で働く際の慣行など、わが国で就業し生活することを目指す人への研修、トレーニングを早急に拡充するべきだ。
スウェーデンやドイツ、フランスでは自国民と外国人の融合を重視してきた。言語教育や就労支援、近年はSNSを使った生活支援なども実施している。わが国もそうした取り組みが必要になる。また、賃金格差の是正や、公平・公正な就業機会の整備も必須だ。法務省の「令和6年度 在留外国人に対する基礎調査」では、外国人がわが国での生活に満足していない要因に、給与水準の低さや物価の高さ、差別があった。外国人にわが国のルール順守を求めるのと同様、受け入れる心構えは重要だ。(1月12日執筆)

