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コラム石垣 2019年1月21日号 中村恒夫

国内株式市場は年末年始の激しい値動きがあったものの、リーマンショック後の低迷期に比べれば、押しなべて堅調に推移している。それに合わせて、新規公開(IPO)を目指す起業家も増えているようだ。創業者利益を狙って大胆にベンチャービジネスに挑むこと自体は、経済全体の活性化にもつながる面がある。一方で、IPO自体が目的化し、その事業でどのように社会に貢献するのか、という視点が欠けた事例も、よく耳にする。

▼「株の公開は考えないことにしました」と新春に会った女性経営者は、吹っ切れたように話した。正社員と非正規の社員を融合してサービスを展開するこの会社は、公開企業となることによって、かえってさまざまな制約を受ける可能性がある。大半が女性である非正規社員も自分たちのライフスタイルに合った働き方を享受しており、画一的な労働規制で就労しにくくなるのを恐れているというのだ。

▼逆に、まだ企業規模は小さくても、公開を目指す環境関連企業もある。経営に関与する女性起業家は「将来の設備投資を実施するには、資本市場からの資金調達が欠かせない」と、その理由を打ち明けた。公開時に株を売って創業者利益を獲得することにはほとんど関心がないという。

▼全く異なる事業に関わる2人の女性。実は同一人物である。両社間に資本関係は一切ない。前者は主体的に経営し、後者には理由があって事実上、経営に参画するようになった。「必要があれば株式を公開するし、必然性がなければしない」というしなやかさは見習うべきところだ。若い起業家には公開による「億万長者神話」に惑わされないで、本来の目的を見据えて事業に取り組んでほしい

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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