容リ法施行で 再商品化量増加
容器包装リサイクル法(以下、容リ法)の施行によって、容器包装の分別排出・分別収集・リサイクルが社会に定着しました。4素材(ガラスびん、紙製容器包装、PETボトル、プラスチック製容器包装)が再商品化されるようになった2000年度と18度を比較すると、指定法人が市町村から引き取った容器包装ごみの量は46万トンから122万トンに、再商品化製品量は39万トンから94万トンに増加しています。
一方で、全国1741の市町村の中で、日本容器包装リサイクル協会(以下、容リ協会)に引き渡している市町村数は合計で1567(90%)ですが、素材別にはガラスびん(無色)が56%、ガラスびん(茶色)が56%、ガラスびん(その他の色)が71%、PETボトルが70%、紙製容器包装が8%、プラスチック容器包装が63%と容リ協会が引き渡しを受けていない市町村が多いことも現状です。
容リ法はOECDが提唱したEPR(拡大生産者責任)の考え方をわが国で初めて導入した法律といわれています。OECDの定義では、EPRとは、生産者の製品に対する責任を製品の使用後の段階まで拡大する環境政策アプローチです。再商品化費用の支払いという財政的責任を生産者(容リ法では特定事業者)が担うことでリサイクルが推進されました。
一方で、EPRには、製品の設計において環境に対する配慮を組み込む誘因を生産者に与える、という特徴があり、容リ法を契機に、事業者の自主的取り組みが進んでいます。
容器包装リサイクルに関わる8素材(ガラスびん、紙製容器包装、PETボトル、プラスチック製容器包装、紙パック、段ボール、アルミ缶、スチール缶)の特定事業者団体は06年度以降、3次にわたり3R(外出抑制・再利用・リサイクル)推進の自主行動計画を策定し、毎年実施状況をフォローアップする中で、容器包装の軽量化・薄肉化、詰め替え容器の開発などの取り組みを進めています。
PETボトルがごみから有価に
当初、逆有償(処理費用を支払わなければ処分できない)でスタートした使用済みPETボトルが06年度を境に平均単価で見ると有価で市場取引される資源物に転じたことも特筆すべき成果の一つです。
資源価値の向上の要因には、分別排出・分別収集が進んだこと、複数種の樹脂を集めるプラスチック製容器包装と違いPETという単一樹脂のリサイクルであったことに加え、業界が再商品化製品の品質を下げる着色PETボトルの使用を自主規制したこと、ラベルを容易に分離できるようにしたこと、かつて再商品化事業者の処理能力が不足していた時期には再商品化事業者の能力増強を業界として支援したことなどの自主的な取り組みがありました。
PETボトルのリサイクルが始まった1997年度、再商品化費用の落札単価は逆有償(処理費用を支払わなければ処理できない)の7万3429円/トンでしたが、2006年度に有償物に転じ、18年度には有償の3万3408円/トンと市場価値のある資源物として定着しています。
また、10年度以降は、紙製容器包装も平均単価で見ると有価で市場取引される資源物に転じており、18年度には有償の9515円/トンと資源物として定着しています。(日本容器包装リサイクル協会・堀田肇)
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