日本商工会議所の小林健会頭は6月30日、定例記者会見に臨んだ。小林会頭は、最低賃金について、法定3要素(物価、賃金、支払い能力)を踏まえて熟議するという原則にのっとり議論を進めるよう主張した。併せて、商工会議所として、政府が掲げる目標(2020年代に全国平均1500円)には反対であり、現在も変更はない点を強調。その上で、「最低賃金引き上げの角度とスピードが問題。急激な引き上げによって脱落する企業が出た場合に地方の産業・生活インフラに深刻な影響を及ぼす可能性がある」との懸念を示した。また、昨年は地方間で引き上げ競争のような状況が生じた実態を振り返り、政府に対して適切な統制を取るよう要望した。
小林会頭は、最低賃金について、各地を訪問する中で、賃上げをせざるを得ないという雰囲気を感じたことに触れ、「今年は、人材を引き留めるためには、防衛的な賃上げか、あるいは前向きな賃上げかといった区別を抜きにして、最低限どれくらい引き上げる必要があるのかという問題に直面している」と現状を伝えた。また、インフレの波が今後発生するとの見解を示し、「昨年度の引き上げ実績が一つの指標となる。地方ごとに状況も異なるが、全体的に見ると昨年がピークであり、今年は伸び率がやや落ち着いてきた傾向もある」と語った。
政府が掲げる戦略17分野への官民投資ロードマップなどについては、「経済界としてはこれを大いに評価しており、成就させなければならないことである。経済界を挙げて一生懸命に取り組んでいく必要がある」と言及した。 為替の動向については、「前提として為替を巡る状況は従来とは変化している。世界的なインフレ傾向の中で、円は相対的に不利な立場に置かれており、円安への対処としては大規模な措置を行う以外に手法が見当たらない」との見解を伝え、行き過ぎた円安に対して危機感を募らせた。
景気見通しについては、日本経済全体としては決して悪い状況に陥っていないとの前提の下、「円安や原油高といった逆風の中でも、中小企業が身を削って日本経済全体の調和を底支えしている。倒産件数は例年並みで推移している。現場の実態を伴わない極端な政策論には慎重であるべき」と主張した。
