厚生労働省は9月29日、「令和8(2026)年版厚生労働白書」(令和7年度厚生労働行政年次報告)を閣議決定し、公表した。同白書は厚生労働行政の現状や今後の課題などを国民に周知する目的で発行しているもの。その年ごとにテーマを設けて現状分析などを行う第1部と厚生労働行政の施策をまとめた第2部で構成している。
令和8年版の第1部のテーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。医療・介護・福祉を支える現場の現状と課題、65歳以上の高齢者人口がピークを迎えこれらの分野の需要増大・多様化が見込まれる2040年を見据えた対応の方向性を示すとともに、テクノロジー(ICT、AI、ロボットなど)の活用による現場の生産性向上について提示している。
第1章では、医療・介護・福祉の現場の概況を説明。これらの分野の全産業に占める就労者数の割合は年々増加傾向にあるが、人材確保が課題であること――特に介護分野で人手不足が深刻化していることや、専門職種の養成過程における入学者数の減少、経営環境が賃金上昇や物価高騰の影響に直面していることなどの課題を挙げている。
こうした状況の中、人材確保対策として進められている医師の働き方改革や、全産業と比べ低い水準にある介護・福祉職員の処遇改善、外国人介護人材の受け入れなどの現場や政策上の取り組みを紹介。これらの取り組みを評価しつつ、さらに継続・強化する必要性を指摘した。
40年を見据えた今後の対応としては、「地域の中で医療・介護・生活支援が一体的に提供される体制の再構築」が求められると強調した。
第2章では、テクノロジーの活用による医療・介護・福祉分野の生産性向上について記述。生産性向上の基本的考え方を、単なる効率化・省力化ではなく限られた人材の下でも質が高く安全で持続的なサービス提供の確保を目指すものであると説いている。そのための手段としてICTやAI、ロボットなどのテクノロジーの積極的な活用に期待を示し、テクノロジーを活用している先進事例として、遠隔ICUを導入し医療の質の向上と働き方改革を実現した病院やICT導入により間接業務を削減した介護施設など多様な事例を紹介している。
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