日本商工会議所は1月31日、1月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果を発表した。1月の全産業合計の業況DIは、2019年12月から2・6㌽改善のマイナス26・8となった。調査期間は1月16~22日。全国336商工会議所の会員企業2068社から回答を得た。
調査結果では、都市部の再開発を中心とする民間工事が堅調な建設業や、米中貿易摩擦・中国経済減速の影響があるものの、半導体関連に持ち直しの動きが見られ始めた製造業に加え、年末年始の長期連休により好調なインバウンドを含む観光需要の恩恵を受けたサービス業、小売業の業況感が改善した。一方、根強い消費者の節約志向や記録的な暖冬による冬物商材の不振、深刻な人手不足や人件費の上昇、原油価格の行方、世界経済の先行き不透明感を指摘する声も多く、中小企業の業況改善に向けた動きは力強さを欠いている。
ヒアリングした企業からは、「米中貿易摩擦が製造業に与える影響が大きく、受注していた工場の建設工事が昨年から延期されたままになっている」(一般工事)、「中国経済の不透明さや不安定な中東情勢を踏まえると、今後、再び業績が落ち込むことも予想され、先行きに対する不安感は拭えない」(自動車・付属品製造)といった世界経済の不透明さへの懸念を訴える声が寄せられた。また、「人件費の負担が大きく、採算がとれない現場も出てきており、厳しい状況が続く」(土木工事)といった人手不足の影響を訴える声も聞かれた。
先行き見通しDIは、1月から0・1㌽悪化のマイナス26・9となった。個人消費拡大やインバウンドを含めた観光需要拡大、補正予算など経済対策への期待感がうかがえる。一方、消費税率引き上げの影響や、人件費の上昇や受注機会の損失など人手不足の深刻化の影響、原油価格を含む原材料費の上昇、コスト増加分の価格転嫁の遅れ、貿易摩擦や世界経済の動向、日韓情勢の行方など不透明感が増す中、中小企業の業況感は慎重な姿勢が続く。
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