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コラム石垣 2020年3月1日号 中村恒夫

新型コロナウイルスの流行による経済への波及が懸念されている。製造拠点だけでなく消費地としても世界経済の中核を成す中国の経済が滞れば、日本に与える打撃は計り知れない。2003年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)が終息まで要した期間を参考に、エコノミストらはGDPへの押し下げ効果を推定している。

▼「年明けからずっと計算違いばかりだ」と経済官庁の有力幹部はため息まじりに話した。政策運営で注目している国内総生産(GDP)の数値を大きく変動させかねない要素が相次いでいるためだ。

▼新年早々には、イラン革命防衛隊の司令官が米軍無人機に殺害され、一時は戦争に発展するかと危惧された。その後、米イラン双方が冷静な対応をしたが、両国間の厳しい対立関係が解消したわけではない。中東地域の政情が不安定になれば、原油価格に当然、影響が及ぶ。さらに、今後の米大統領選の動向も不透明要素だ。

▼「こういう時こそ、GDPの数値にこだわり過ぎない方が良い」と張する専門家もいる。デジタル化推進で生活の利便性が格段に向上し、それに伴い「国民の主観的な生活満足度も高まっている」というのだ。デジタル通販や映像・音楽配信の活用を通じてモノの値段は大きく下がっているし、購入時に必要だった交通費もいらなくなった。一方でこうした利便性改善の面は、GDPには反映されていない。

▼物価上昇率を含め、目標数値を重視する政府・日銀に生活満足度へ比重を移すよう要請しても同意は得られないだろう。経営者は外的要因に過度に惑わされることなく、自社の商品・サービスの需要の動きと、将来の販路拡大を基軸に会社を運営すべきだ。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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