わが国の新型コロナウイルスへの水際対策は奏功せず、感染が全国に拡大した。今はこのウイルスの感染経路が追えない市中感染の状態にあり、持病を有する高齢者らが重篤に陥らないような防疫や治療を行う段階に入った。
▼このウイルスは、病気を発症していない無症状者も病原菌をうつす可能性が指摘されている。幸い、その致死率は致命的なほど高くなく、重症急性呼吸器症候群(SARS)とインフルエンザの中間程度といわれている。
▼中国は2003年のSARSの教訓を全く生かせず今回も初期対応に失敗した。武漢市の医者は人から人にうつることを警告していたが、政府は当該情報を隠蔽(いんぺい)し、感染の抑え込みに失敗した。
▼世界保健機関(WHO)のエチオピア出身のテドロス事務局長は緊急事態宣言を一時留保したり、各国が中国に対して渡航制限措置を取らないよう発表したりするなど、習近平国家主席に対して異例の忖度(そんたく)を行なった。本来、WHOは世界の人々の健康を第一義的に考えるべきなのに、個人的な事情から政治的にその警戒情報をゆがめた。
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