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コラム石垣 2020年1月21日号 中山文麿

年初も、香港では民主化勢力が大規模なデモを起こし、普通選挙の導入など5項目を要求していた。一方、終身国家主席も可能となった習近平氏は、レガシーとして1日も早く香港を中国本土と一体化しようと画策している。元々、一国二制度は鄧小平氏が将来台湾の併合をもくろんで計画した制度で、まず、香港に導入された。習近平氏はこれを名実共に一国一制度にせんとし、強権的な対応もいとわない姿勢である。

▼ところで、中国が世界第2位の経済的発展を遂げたのは、ひとえに香港のおかげである。ここ10年弱の期間、中国本土の企業は株式の7割、債権の6割を香港経由で資金調達してきた。香港はチベットやウイグルと同様、中国にとって絶対不可侵の核心的利益なのだ。

▼比較的自由な教育環境で育った香港の若者は、西側に普遍的な自由と民主主義を獲得するために死を賭して戦ったとしても徒労に終わるだろう。中国は共産党による事実上の一党独裁体制であり、習近平氏は香港だけに特別な地位を与えるはずがない。若者が過激な行動に出た場合、香港に駐屯している人民解放軍が容赦なく鎮圧するだろう。従って、若者は是が非でもこれらの権利を手中に収めたいと願うならば香港から出るしかない。

▼香港人の半分は英国パスポートを所有していたり、また、約30万人の香港人はカナダのビザを有したりしているようだ。ところで、日本は、かつて明治時代後半から周恩来元首相ら1万人弱の中国人留学生を受け入れてきた。もちろん、中国に対する内政干渉は避けねばならないが、同時にわれわれは香港を脱出したいと願う優秀な若者に対して、日本も移住先の一つとして選択されるようにしておきたい。

(政治経済社会研究所代表・中山文麿)

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