コラム石垣 2020年4月21日号 中村恒夫

リーマンショックに東日本大震災。日本経済は今世紀に入ってから経験したことのないような衝撃に見舞われた。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は「二つの衝撃を重ね合わせたようなもの」と情報関連企業の役員は語る。実際に終息宣言が出ないと影響度の大きさを振り返ることはできないが、経営の根幹を揺さぶられている企業も少なくない。

▼日本が経験した厳しい局面は、さまざまな教訓を残した。リーマンショックは、どんなに有力な企業が推奨しても、実態が不透明な金融商品に過度に投資すべきではないと教えてくれた。ひとたび経済規模が縮小すれば、注文は次々にキャンセルされると経営者の胸に刻み込ませた。東日本大震災は立地の重要性だけでなく、仕入れ先の多様化を念頭に置くべきだと印象付けた。

▼新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、在宅勤務が脚光を浴びている。働き方改革の中で、重要な項目に位置付けられてきたテレワーク。セキュリティーの確保、端末購入などの面で初期投資費用がネックになっていたが、今後導入が加速するだろう。

▼「別の側面もある」と先の役員は指摘する。「不要不急」をキーワードに、それぞれのビジネス、商品、サービスが、どこまで生活に欠かせないものなのか問われているのと同様に、「在宅でできる仕事は、企業にとって業務の仕分けを行う好機だ」というのだ。職場でなくてもできる仕事ならば、外部に委託できる可能性もあるし、その分野だけ別会社をつくって業務を移管できるかもしれない。70歳までの就業機会確保を求めた改正高年齢者雇用安定法が成立した。通勤交通費抜きで高齢者に仕事を委託するにはテレワークも一つの方策だろう。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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