「なせば成る」を信条に、竹で安全な乳幼児用食器開発
FUNFAM株式会社 代表取締役 藤岡 康代(ふじおか・やすよ)
安心して使える食器作りたい
出産を機に、健康や食生活について考えるようになりました。生まれた子どもがアレルギーだったこと、また当時、中国製乳製品の化学物質混入事件が報道されたり、子ども用プラスチック食器の安全性が話題になったりしたことから、母親として安心して子どもに使わせられる物がほしいと思ったのです。約10年勤めた国際線キャビンアテンダント(CA)の職を離れ、安心して使える食器を作ろうと会社を立ち上げました。
食器の素材として着目したのが竹です。竹は丈夫で抗菌性に優れ、縁起も良いもの。自然素材である竹製食器なら同じ悩みを抱えた母親に安心して使ってもらえ、ギフトにも喜ばれると思いました。
またCA時代、海外の食文化に触れた経験から、世界中で問題となっている肥満や生活習慣病、食物アレルギーを和食文化で解決できるのではないかと考え、食育にも関心を持っていました。日本でもファストフードの普及や家族形態の変化を背景に食の問題を抱えた子どもが増えています。竹の食器と共に、「楽しく食べられる」レシピや食育プログラムを提供すれば、子どもの過食や食わず嫌い、アレルギーの解決にもつながるだろう。こうした思いで製品開発を始め、職人に頼み込んで「初めの一つ」を作りました。
食器と食育をセットで提供情報機能付き食器も開発へ
製造面では苦労が絶えませんでした。竹は加工が難しく職人泣かせ。製品に付ける焼き印を、やけどしながら自分で押していたこともありました。現在は、皿、カトラリーなどアイテム別に全国の職人が製造し、焼き印もレーザー加工、安全性に配慮した臭いが残らない独自の塗装法で仕上げています。機能性にもこだわり、例えばプレートは乳幼児がバランスよく食べられるよう四つに仕切ってメインディッシュ、デザートなど分けて盛り付けられるようにしています。さらに食器を上手に使っていただくため独自のレシピを作り、「離乳食スクール」も開催しています。こうして誕生した製品を、伊勢丹やザ・リッツカールトンホテルへ営業しました。広告費や営業経費を抑えるため口コミ効果を狙ったことが功を奏し、その後の顧客開発につながっています。
今、IoT(Internet of Things)の領域で「情報機能付き食器」の開発に挑戦しています。これは、当社の食器に識別情報コードを付し、スマートフォンやタブレットPCから乳幼児の日々のデータを記録・蓄積することで、生活習慣の改善やアレルギー対策、医療機関と連携した予防医療に生かそうというもの。この機能が加われば、2030年に37兆円と見込まれているヘルスケア市場に当社は参入できるのです。
女性が活躍できる場をつくることも目標の一つ。これからの日本には女性の力が必要ですが、女性が働きやすい環境が十分に整っていないのが現実。母親でもある経営者として、この問題の解決にも尽力していきたいと思います。
会社データ
社名:FUNFAM株式会社
所在地:東京都港区芝浦3-14-19 大成企業ビル7階
電話:03-6453-9500
創業:平成24年
事業概要:食器製造販売卸業(竹製食器の製造販売、料理教室運営)
※月刊石垣2018年2月号に掲載された記事です。
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