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こうしてヒット商品は生まれた! ピンク醤油 華貴婦人

見た目もおいしいピンク醤油 華貴婦人。50~400㎖まで8種類のボトルバリエーションがある。左から「コロン」(100㎖)、「サクラ」(同)、「アデリーヌ」(200㎖)

飲食、観光、食品加工などを幅広く展開しているブリリアントアソシエイツ。「食と健康」をキーワードに、鳥取からオリジナル食文化を発信したい、との思いで開発したピンク色のしょうゆが、日本だけでなく海外からも人気を集めている。しょうゆ=黒褐色という固定概念を飛び越えた、商品開発の道のりを追う。

女性が化粧するように、料理も華やかに彩りたい

予備知識なく、この商品を見て、しょうゆだとわかる人はどれくらいいるだろうか。日本の食文化を支える調味料の一つとして、全国各地に数々のしょうゆがある中、ひときわ異彩を放っているのが「ピンク醤油 華貴婦人」である。その鮮やかな色味から奇抜な味と思いきや、少しとろみのあるまろやかな甘味の中に、カツオや昆布のだしのうま味が効いており、味も風味もしょうゆそのもの。刺し身や冷ややっこにはもちろん、煮物やお吸い物、洋食や菓子など幅広く活用でき、ひと味違うものに仕上げるところが持ち味だ。

「女性が化粧をして身も心も輝くように、料理をもっと華やかに彩りたいと思ってつくりました。ご家庭での調理だけでなく、マイ調味料としていつもバッグに持ち歩いてもらえるように、容器もおしゃれでかわいくして……。女性目線でつくった女性向け商品です」と開発者であるブリリアントアソシエイツ社長の福嶋登美子さんは思いを語る。

同商品を思いついたのは4年ほど前のこと。福嶋さんが県庁に程近い場所に、古民家を改装したカフェレストラン「大榎庵」をオープンしたことに始まる。

「鳥取を訪れる観光客が、『砂丘を見たあと、どこに行ったらいいかわからない』というのをよく耳にしていました。ならば中心市街地に足を運んでもらおうと、鳥取の味をゆっくり堪能できる店をつくろうと思いました。でもこの辺りは観光地ではないので、人を呼び込むには仕掛けが必要です。そこで近くにある『仁風閣』という国指定重要文化財の西洋館をモチーフにした『とっとり山の手物語 華貴婦人』というストーリーを創作し、そこに登場する美しい4姉妹をイメージキャラクターにして、『貴婦人になれる店』とPRしたんです」

黒褐色のしょうゆがピンク色になったら

鳥取県の〝食〟といえば、カニをはじめとする海産物が頭に浮かぶが、実はカレーの消費量が全国で1・2位を争うというカレー王国なのだそうだ。そのため市内の飲食店で欠かせないメニューであり、同店でも当初からカレーを看板メニューと位置付けていた。しかし、どれほど味や中身を工夫しても、さほど特徴は出ない。

「当店ならではのカレーを提供するために、もし華の4姉妹が食べるとしたら、どんなカレーが似合うだろうと考えていたら、ふとピンク色が思い浮かんだんです。突拍子もないアイデアと思うでしょうが、試行錯誤の末に、ホワイトカレーにボルシチに使われる西洋野菜のビーツの赤みを加えることで、きれいなピンク色のルーをつくることに成功しました。見た目と違って味は本格的な辛口に仕上げたところ、あっという間に人気メニューになりました」

口コミが広がり、「食べてみたい」という遠方からのニーズに応えてレトルト商品化。「ピンク華麗」の名で平成26年7月に販売を開始したところ、大きな反響を得る。商機を感じた福嶋さんが、ピンク色の第二弾商品として目を付けたのがしょうゆだった。

「実は、鳥取の海の幸が集まる海鮮市場内の土産物でもっとも売れているのがしょうゆなんです。もし、しょうゆがピンク色になったら、華やかさと幸せを感じる料理スタイルが提案できるのではと思ったことが理由でした」

こうして夏ごろから開発をスタートし、カレー同様、ビーツから抽出した色素で従来の黒褐色からピンク色にすることに成功する。食材に絡みやすいようにとろみを付け、カツオや昆布エキスのパウダーを使ってだしのうま味を利かせた。さらに女性が思わず「かわいい!」と手に取りたくなるように化粧水やコロンのようなおしゃれなボトルを数種類つくって、好きな形を選べるようにもした。

こうして商品は完成。「ピンク醤油 華貴婦人」という名で、今年1月31日の「愛妻の日」に発売した。

動画投稿サイトでの注目を追い風に海外展開

新聞やテレビなどに取り上げられたことや、バレンタインデー直前だったことが追い風となり、すぐに注文が殺到する。インターネット上のSNSやブログなどで口コミが広がったほか、ユーチューバー(動画投稿サイト「YouTube」に動画を投稿して広告収入を得ている人)にも注目され、商品の特徴や上手な使い方などを動画で紹介されたことがさらに人気に火をつけた。福嶋さんは楽しそうにこう説明する。

「私もあとになって知ったのですが、その動画は海外でも視聴されているようで、海外からもかなり反響がありました。もともと発売当初から海外にも積極的に打って出たいという思いがあったので、タイやシンガポールを皮切りにPR活動を開始し、早速オファーをもらいました。この7月にはパリで開催されたジャパンエキスポに参加し、スタッフがコスプレをして商品PRを展開したところ、フランスでのビジネスパートナーとのマッチングができました。しばらくはこうした海外行脚が続きそうです」

今や国内外で好調な売れ行きを続けている「ピンク醤油」。ここまでヒットした背景には、〝貴婦人〟という言葉の響き・イメージがある。華やかな色、豊かな味わい、幸せな食卓、美しい4姉妹などがキーワードの下に違和感なく調和し、いかなる商品かを雄弁にアピールしているからだ。

現在、販路拡大に向けて多忙を極める中、すでにピンク色の第三弾商品の構想を固めているのだそうだ。風が吹いているタイミングを逃さず、スピーディーに動くのが福嶋さん流。次はどんな鳥取発商品で驚かせてくれるか、期待せずにはいられない。

会社データ

社名:ブリリアントアソシエイツ株式会社

住所:鳥取県鳥取市大榎町3-3

電話:0857-24-5548

代表者:福嶋登美子 代表取締役社長

設立:平成16年

従業員:22人

※月刊石垣2015年9月号に掲載された記事です。

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