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特許法改正案を閣議決定 2014年度模倣被害調査報告書概要(特許庁)

模倣被害社数および模倣被害率の推移(図1)

中国での被害67% 1社あたり対策支出額 平均で710万円に

特許庁は11日、わが国の企業などの模倣被害の実態について、2013年度のアンケート調査結果を「2014年度模倣被害調査報告書」として取りまとめ、公表した。13年度の模倣被害率は、前年度被害率の21・8%から0・2ポイント増加して22・0%。国・地域別の被害傾向では、特に中国での被害率が突出している。また、インターネット通販サイトやオークションサイトを使った模倣品の販売取引、インターネットにおけるコンテンツの著作物の違法コピーなどネット上で被害を受けた企業は、模倣被害を受けた企業のうち60・5%。インターネットにおける被害は高止まりしている。調査は、2007年度~11年度の5年間で日本で特許出願、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願を行った国内の企業・団体のうち、合計出願件数の多い上位8045社を対象に行った。調査期間は14年8月25日~11月10日。有効回答は4314社、有効回答率は53・6%。

1 模倣被害の現状と傾向

2013年度の模倣被害率は、前年度被害率の21・8%から0・2ポイント増加して22・0%であった。模倣被害率の推移は02年度をピークとして数年低下傾向にあったが、06年度から増加に転じた後、09年度から減少し、10年度以降は増減を繰り返している(図1参照)。

企業規模別で見ると大企業が前年度比で増加しており、商品分野別では雑貨、食品が減少したものの、一般機械・産業機械、電子・電気機器、運輸・運搬機械が増加となった。

国・地域別の被害傾向では、中国・韓国・台湾などの被害率が依然として高水準にあり、特に中国での被害率が突出している。

引き続きアジア地域における模倣被害の動向に注意が必要である。また、複数の権利での被害やインターネット上での被害が増加傾向にあり、被害内容は多様化・複雑化している。

2 企業規模、商品分野、権利別の模倣被害動向

(1)企業規模別被害動向(図2参照)

大企業の被害率(13年度26・3%)は、中小企業(同18・7%)より高い傾向にある。直近5年間の傾向をみると、大企業では09年度以降は減少、増加を繰り返したが、13年度は再び増加となった。中小企業は11年度に増加した後、12年度以降は減少傾向になっている。

(2)商品分野別被害動向

13年度の被害率は、前年度比で一般機械・産業機械、電子・電気機器、運輸・運搬機械が増加、雑貨、食品が減少となった。09年度~13年度の増減でも、一般機械・産業機械、電子・電気機器、運輸・運搬機械において被害率が増加、雑貨、食品分野は減少している。

(3)権利別被害動向

知的財産権の権利別では、特許・実用新案、著作物、営業秘密・ノウハウは前年度比でやや増加している。ただし、いずれも被害率に大幅な変化は見受けられない(図3参照)。

また、1社当たりの被害権利数について、直近の5年間で比較したところ、被害企業数に占める複数の権利で被害に遭っている企業の割合は、11年度から減少傾向となっているが、全体の割合は依然多く、被害権利の多様化・複雑化は依然として高い水準にある。

(4)インターネットによる模倣被害動向

インターネット上の模倣被害を受けた企業の割合は60・5%となり、09年度以降、被害を受けた企業の割合は増加傾向にあり、12年度・13年度は6割を超える高い水準にある(図4参照)。

3 国・地域別の模倣品・サービスの流通構造

(1)模倣被害地域の分布

製造、経由、販売提供のいずれかの被害を受けた国・地域別の被害企業の比率をみると、前年度に引き続き、中国での被害社率が最も高く(13年度=67・0%)、次いでアセアン6カ国(同20・4%)、台湾、韓国(同19・7%)と続いている。その他の地域では、欧州(同15・4%)、北米(同13・6%)となっており、アジア地域での模倣被害が引き続き深刻な状況となっている。

(2)模倣品・サービスの製造・経由・販売提供

製造、経由、販売提供別に模倣被害のあった国・地域別の模倣被害状況(図5参照)を見ると、中国のみ当該国内の製造が販売提供を上回っていることが分かり、中国国内で製造された模倣品・サービスが世界各国に流通していることがうかがえる。

模倣品・サービスの製造国・地域については模倣被害を受けた企業948社のうち、604社が模倣品・サービスは中国で製造されていると回答しており、依然として中国での被害が高水準にある。なお、中国で製造された模倣品・サービスが、中国自国内で販売提供被害に遭ったと回答している企業の比率が高いが、韓国、台湾、アセアン6カ国、欧州などの地域でも比較的高い。

模倣品・サービスの経由国・地域については中国(被害社数=218社)を挙げる企業の回答が最も高く、次いで台湾(同48社)、韓国(同45社)、アセアン6カ国(同38社)、が続く。ただし、不明との回答も多く(同169社)、経由地域の把握は困難であることがうかがわれる。 模倣品・サービスの販売提供国・地域については、中国(同499社)の被害社が多く、次いでアセアン6カ国(同174社)、台湾(同151社)、韓国(同150社)などアジアでの被害が中心となっている。一方で、欧州(同134社)、北米(同120社)での被害社も多い。

(3)国内外の模倣被害の傾向

国内での模倣被害の増減傾向は、例年「増加傾向」と「減少傾向」の回答が拮抗しているのに対し、国外での増減傾向は、「増加傾向」とする回答が「減少傾向」とする回答を一貫して大きく上回っている。13年度は前年度比で「増加傾向」とする回答はやや減少した。国別では、特に中国、台湾、韓国、アセアンにおいて模倣被害が増加傾向であるとする回答が多い。

4 企業などにおける模倣被害対策の動向

(1)模倣被害対策の実施状況

13年度の模倣被害対策の実施率(模倣被害対策実施企業/総回答社数)は、前年度実施率43・3%から1・4ポイント減の41・9%となった。対策を講じていると回答した企業数は09年度以降増加していたが、12年度以降は減少となっている。

模倣被害対策費の支出規模をみると、13年度は「100万円未満」がやや増加、100万円以上は概ね横ばいとなっている。模倣被害対策費を支出した企業における1社あたりの平均支出額は、13年度は約7・1百万円となり、やや減少した。

(2)模倣被害対策の内容および国・地域別の対策状況

模倣被害対策の内容は、「国内外での知的財産権の取得」(72・3%)とする回答が最も多く、次いで「専門家(弁理士・弁護士)への相談」(31・2%)、「模倣品の製造業者・販売業者への警告」(27・1%)が続いている。 国・地域別の被害対策の状況については、日本を含めアジア諸国の模倣被害率の高い地域での対策率が高く、日本(65・7%)、中国(47・9%)、韓国(26・5%)、台湾(25・7%)の順となっている。そのほかアメリカ(26・5%)、西欧(22・3%)での対策率も高い。

今後対策を強化する地域としては、中国(21・4%)が多くの企業で挙げられており、次いで日本、アセアン6カ国、韓国、台湾が続き、アジア地域での対策強化を図る傾向がうかがわれる。

権利帰属を明確化 職務発明制度 見直し

政府は13日、「特許法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。改正案では、特許権の帰属の不安定性を解消するため、企業が契約や勤務規則などの形で、あらかじめ示していれば、使用者に特許権を帰属することができるように職務発明制度を見直す。従業員の発明のインセンティブを明確化することにより、発明を奨励するとともに、企業が特許を円滑かつ確実に取得することで知財戦略を迅速・的確に行い、企業競争力を強化することなどが狙いだ。職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能とするとともに、発明者に対して現行法と実質的に同等のインセンティブを付与。法人と発明者の間でのインセンティブ決定手続のガイドライン策定を法定化する。改正法案は、今国会に提出し、平成年の施行を目指す。以下は、改正案の概要。

1.法律改正の趣旨

知的財産の適切な保護および活用によりわが国のイノベーションを促進するため、発明の奨励に向けた職務発明制度の見直しおよび特許料などの改定を行うほか、知的財産権に関する国際的な制度調和などを実現するため、特許法条約および商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備を行う。

2.法律改正の概要

(1)職務発明制度の見直し【特許法】

①権利帰属の不安定性を解消するために、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者などに特許を受ける権利を取得させることを定めたときは、その特許を受ける権利は、その発生した時から使用者などに帰属するものとする。

②従業者などは、特許を受ける権利などを取得などさせた場合には、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を有するものとする。

③経済産業大臣は、発明を奨励するため、産業構造審議会の意見を聴いて、相当の金銭その他の経済上の利益の内容を決定するための手続に関する指針を定めるものとする。

(2)特許料などの改定【特許法、商標法、国際出願法】

①特許料について特許権の設定登録以降の各年において、10%程度引き下げる。

②商標の登録料を25%程度、更新登録料について20%程度引き下げる。

③特許協力条約に基づく国際出願に係る調査などについて、明細書および請求の範囲が日本語または外国語で作成されている場合に応じ、それぞれ手数料の上限額を定める。

(3)特許法条約および商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備【特許法、商標法】

各国で異なる国内出願手続の統一化および簡素化を進める両条約に加入すべく、国内法における所要の規定の整備を行う。

①特許法について、外国語書面などの翻訳文を所定の期間内に提出することができなかったときは、特許庁長官が通知をするとともに、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその翻訳文を提出することができるものとすることなど、特許法条約の実施のための規定の整備を行う。

②商標法について、出願時の特例の適用を受けるための証明書を所定の期間内に提出することができなかったときは、その期間が経過した後であっても、一定の期間内に限りその証明書を提出することができるものとすることなど、商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備を行う。

3.施行期日

公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日。