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「下町育ちの再建王」の経営指南 復活力 自らを変える

この3カ月はさまざまな事例を挙げて、復活力についてご紹介しています。復活といっても、日産自動車の社長兼最高経営責任者、カルロス・ゴーンさんが手腕を発揮した業績のV字回復もあれば、自分の生きる力、元気を取り戻すことも復活と呼べるでしょう。また自己改革により、社内での人間関係や評価が一変するほどの変身を遂げ、自分はこうありたい、と思い描く自分に近づくのも復活だと思います。

これは私が船井総研の社長に就任したころ、15年ほど前の話です。千葉県内のある飲食店の社長から、「自分を変えたい」という相談を受けました。彼はこれまで他人の意見を聞かず、がむしゃらに頑張って事業を成功させました。しかし、周囲を見回してみると、一つの目標に向かって社長と社員が手を取り合って頑張って業績を上げている組織があります。そんな姿に憧れを抱く気持ちが、近年特に強くなった、というわけです。私は「その気持ちが本当なら、社員に今の正直な気持ちを打ち明けて、詫びれば? いっそのこと土下座した方がいいかもしれませんよ」と、アドバイスしたことがあります。

仕事でも、プライベートでも、もっと良くしたい、あのようになりたいといった理想を持っている方は、ためらわずに自己改革すべきです。他人を変えるのは不可能に近いほど大変なことですが、自分を変えることは覚悟次第で十分可能です。

ただ、周りの人にその思いを理解してもらうのは簡単ではありません。「雨でも降るんじゃないの!」とか、「体調でも悪いんですかぁ?」などと皮肉めいたことを言われるのがオチ。ならばいっそのこと環境整備のために、思い切った行動を取るのも一つの方法というわけです。で、先述の社長はどうしたかというと……。

私からアドバイスを受けた翌週の月曜日に行われた全体朝礼の場で、彼は社員に詫びたそうです。「今までの傍若無人な態度は間違っていた。自分は生まれ変わる。だから、もっと仕事の意見を言い合える活気ある会社を一緒につくってもらいたい。これまでのわがままな態度を許してほしい。申し訳なかった」。そう言うやいなや本当に土下座したのです。社員はぼうぜんとしていたようで、いち早く我に返ったパートの3人が駆け寄り、「社長、頑張りましょう」と涙ながらに社長の手を取り、立ち上がらせてくれたといいます。まるでドラマのような感動的な一コマとともに彼は変わり、社員たちのバックアップを受けて結束力のある良い組織をつくっています。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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