昨年のインドの自動車販売台数が400万台を突破し、ドイツを抜いて世界第4位に浮上した。中国、米国、日本に次ぐポジションである。13億人という人口規模からみれば、8200万人のドイツを抜くのは当然であり、次はいつ日本、米国を上回り、市場規模でどこまで中国に迫るのかがポイントとなる。それは当然ながら、日本の製造業の圧倒的なけん引車であり、裾野も広い自動車産業全体に大きな影響を及ぼす。
2017年のインドの自動車販売は前年比約10%増の401万台。2887万台の中国や1723万台の米国とは依然として大きな差があるが、523万台の日本はすでに〝射程圏内〟に入った。では、この後の伸びはどうなるか。
参考にすべきはやはり中国だ。自動車販売で昨年のインドと同じ水準だったのは中国が455万台を販売した2003年。その年の中国の1人当たりGDP(国内総生産)は1293ドルと、インフレ調整を考慮しても昨年のインドの1850ドルよりかなり低い。インドのモータリゼーションは中国より遅れているとみるべきだ。
その後の中国は前年比13~14%の伸びだったが、06年から一気に弾みがつき、10年には1806万台にまで駆け上がった。03年からみれば7年で4倍に拡大した計算。その間、1人当たりGDPは07年には2703ドル、10年には4524ドルと急増している。10年には03年の3・5倍になっており、自動車市場の膨張と並行していることが分かる。その後の10年から17年までの期間に中国は1人当たりGDPは1・9倍に、自動車販売は1・6倍になった。自動車市場が次第に飽和していることになる。17年の中国の自動車販売の伸びは3%に止(とど)まった。
さて、インドはモータリゼーションのスタートはやや遅くなったが、これから中国並みの急膨張の可能性は高い。道路の総延長では実はインドは中国を15%上回り、米国に次ぐ世界第2位。道路密度(面積あたり道路延長)では3・5倍という「道路大国」だからだ。インドは車が普及する基盤は持っている。中国でモータリゼーションが劇的に進んだ05~15年の期間に高速道路が全国に張り巡らされる一方、都市部での駐車場、地方でのガソリンスタンドの不足が問題化した。中国で起きたことがインドで起きれば、立体駐車場からカーアクセサリー・タイヤなどの販売、整備工場、さらには高級車向けの洗車サービスなど、さまざまな周辺ビジネスでチャンスが広がるだろう。
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