日商 Assist Biz

更新

テーマ別企業事例 働き方を変える!

事例1 〝働きやすさ〟を最優先し27年連続で営業黒字を達成

三州製菓(埼玉県春日部市)

パート社員から正社員に登用された女性は31%で、うちマネージャー(課長クラス)に昇進した女性も2名いる。社員が仕事の改善策を研究する「一人一研究」制度で、製造現場も女性が使いやすい機械や働きやすい環境づくりが進む

女性の活躍によって経済を活性化する「ウーマノミクス」をいち早く導入し、社内環境・風土の大改革を遂げた三州製菓は、27年連続営業黒字を達成。従業員の7割超が女性で、出産、育児、そして介護をしながらでもキャリアを継続でき、社員同士の助け合いが職場に根付いている。32年までには女性管理職の比率を35%以上とする企業目標も、今や射程圏内だ

「一人三役制度」で助け合う社風を育む

従業員246人のうちパート社員も含めると182人と7割超が女性という三州製菓だが、以前は男性中心、管理職も全員男性だったという。それを変えたのが二代目代表取締役社長の斉之平伸一さんだ。昭和25年設立の埼玉県最大手の高級米菓メーカーで、数年前から洋菓子の商品開発にも乗り出し、和洋菓子合わせて毎月10点以上もの新商品を生み出している。

「その原動力になっているのが女性です。お客さまの80%以上が女性なので、お客さまのニーズに応えた商品の企画開発や提案、サービスには、女性の感性は欠かせません」と斉之平さんは語る。

実際、商品企画室は全員女性で、女性管理職も全国平均がまだ一桁という現状下で、27%とかなりの割合を占める。

「トップが女性活躍推進と声高らかに唱えるだけでは、何も変わりません。28年前に私が就任してまず取り組んだのが風土と制度改革です。すべてのものを真に生かすという企業理念に基づいて、女性の活躍の場を広げていきました」

その要になったのが「一人三役」制度だ。一人が3つ以上の仕事をこなせるようにし、空き時間や社内研修を通じて担当外の仕事も身に付けていく。技量レベルも「新人」から「達人」まで6段階に分かれ、緊急時に誰もがサポートに入れる体制となっている。

「この制度があることで、社内には助け合い、お互いさまという意識が浸透しています。一人で仕事を抱え込むことがなく、他の仕事をすることで、業務全体や自分の担当業務の役割が明確になります。無駄や重複業務にも気付きやすく、仕事の効率化も図れるのです」

そう穏やかに語るのは総務部マネージャーの板垣千恵子さんで、社内に13ある委員会のうち、男女共同参画委員会の委員長も担う。

人材育成、社内環境の改善に社員の力

「男女共同参画委員会は、トップダウンではなくボトムアップで女性活躍を推進できるように、16年に発足した組織です。翌年から2年間は21世紀職業財団が指定する職場風土改革事業に取り組みました。他の委員会もパートも含めて各部門から一人ずつ参加して、役職にかかわらず適任者が委員長に選任されています。運営予算をどう使うかは委員長に委ねていて、現状5人の委員長が女性です。女性リーダーの育成の場としても効果的です」と斉之平さん。「『味覚評価委員会』では優れた味覚の人が委員長になり、新商品などの味も社長ではなく、委員長に権限がある」と言って笑う。

また出産や子育て、介護が、キャリア継続の障壁にならないようにした仕組みも万全だ。育児や介護中の社員は、短時間正社員制度やフレックスタイム制の活用、所定外労働の免除が、子どもが小学校3年生になるまで続く。育児休暇中の社員には、会社や同僚の近況、新商品情報、バーベキューなどの社内活動の様子をハガキやメールで伝えるなど、会社の一員としてのつながりを持続し、安心して職場に復帰できるように工夫している。

斉之平さんは男性の育児有給休暇について「当初は一人ひとり呼び出して、説得したり頼み込んだりしました」と苦笑する。全国平均2・8%のところが100%に達したものの、「3〜5日休んでくれるのがやっとで」と顔を曇らせる。日数も増やしたい考えだ。

女性の活躍で業績が伸び数々の賞に輝く

このように、女性の活躍推進と同時にワーク・ライフ・バランスも念頭に置いて改革を図ってきた三州製菓だが、その取り組みは社内に限ったことではない。23年には斉之平さん自らが埼玉県ウーマノミクス推進委員会座長を務め、中小企業経営者向けの女性活用マニュアルの製作にも関わった。県教育員会委員長や県立大学の理事にも就任するなど教育面にも深く貢献している。県内の女子大学や高校との商品開発プロジェクトも進め、26年に新設した本社工場1階に体験型ファクトリーショップ「エス・テラス」をオープンし、地域の女性が多目的に活用できる場も提供している。

こうした取り組みを背景に、自社の業績も好調だ。若手の女性社員が考案した「揚げパスタ」が全商品中の1割超の売り上げを誇り、28年9月には東京・ルミネ北千住1階に「フライドパスタスナック」専門店を出店するなど、勢いに乗っている。

「独自の機械を開発したものの、最初の2〜3年は鳴かず飛ばずで、生産中止も考えました。でも社員らが味やパッケージの見直しを図り、5年目から売り上げが伸びました」と斉之平さんは目を細める。25年にはダイバーシティ経営企業100選のうち、25社だけに贈呈される「ホワイト企業」の称号を獲得し、翌年にはAPEC女性活用推進企業50選の中で日本企業5社のうちの1社に挙げられている。そのほか、渋沢栄一賞受賞や「えるぼし」の3つ星認定を受けるなど、大手企業や団体も注目する中小企業として活躍する。

「32年には女性管理職率35%が目標です。27年4月から配偶者手当廃止と子供手当増額を実施しています。今後は在宅勤務の可能性を広げるべく、IT企業と連携してセキュリティー管理を厳重にしたシステム構築を検討しているところです」

女性が生き生き働く三州製菓の躍進は、まだ序章にすぎない。

※女性活躍推進法(平成28年4月1日に全面施行)に基づく認定マーク。5つの基準項目に応じて、厚生労働大臣が優良な企業を認定する。

会社データ

社名:三州製菓株式会社

所在地:埼玉県春日部市銚子口979番地

電話:048-735-1151

HP:http://sanshu.com/

代表者:斉之平伸一 代表取締役社長

従業員:246人

※月刊石垣2017年1月号に掲載された記事です。

次の記事

株式会社クレコス/ツバメタオル株式会社/株式会社ミールケア/株式会社そらのした

需要や市場の変化を受け、業績が思うように伸びずに悩んでいる企業も多い。しかし、ただ手をこまねいていては、業績の回復は望めない。そこで、独自の技術や戦略により新たな需…

前の記事

會澤高圧コンクリート株式会社/センコン物流株式会社/株式会社エル・アイ・ビー

ロシア・プーチン大統領の来日を機に日本とロシアは、〝近くて、近い国〟になろうとしている。そこで、ロシア事情に詳しい専門家に話しを聞くとともに、いち早くロシアに進出し…

関連記事

西光エンジニアリング株式会社

BCP(事業存続計画)本来の意味は、企業を存続させて、雇用と顧客を守るということである。自然災害の多いわが国の場合は、BCPについて、災害から社員や社屋・施設を守る防災計…

釧路駅西商店街振興組合/中町商店街振興組合

人口流出や郊外型の大型ショッピング施設などに押されて、苦境に追い込まれている地方の商店街も多い。しかし、そのまちの特色や地域の名産を生かし、見事に復活した商店街もあ…

株式会社WORK SMILE LABO/株式会社岡部

日本をはじめ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス禍によって、大小を問わず‶職場閉鎖〟の危機に見舞われた企業も多い。そこで、職場内の感染予防とBCP(事業継続計画…