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コラム石垣 2019年6月11日号 宇津井輝史

寄付とは見返りを求めない行為である。ふるさと納税も、故郷や応援したい市町村への寄付行為の奨励という趣旨で始まった。だが、2千円を超えた分が住民税の減税などにより、実質的にキャッシュバックされる仕組みとして登場した。そのため、2千円の自己負担で品物がもらえる「お得な制度」としてすぐに普及した。

▼寄付先(納税先)に選ばれるために、自治体は返礼品に工夫をこらす。お礼に特産品を贈る。ほかの地域に負けまいと、地元とは無関係の豪華な返礼品を競うようになるまで時間はかからなかった。いつの間にかお得なネット通販。自治体の臨時収入獲得競争の観を呈するに至った。むろん過疎化と財政難、毎年決まった税収と、使い道も窮屈な自治体の立場が分からぬではない。

▼だが都市部に集中する税を地方へ移転し、増えた税収で自治体の地域おこしを応援するのが制度の趣旨。ならばまずは自治体が事業の目的と内容を示し、応援資金を募るのが原則であり、「選択型寄付行為」の本質である。市の買い上げに頼りすぎれば地場産業も行き詰る。過熱ぎみの風潮に、政府は6月からルールを変える。返礼品の調達費は寄付額の30%以下、返礼品は地場産品に限るという新基準が適用される。損得勘定優先では寄付金控除制度が泣こう。

▼それでもふるさと納税は、自治体間に競争原理を芽生えさせ、行政に市場発想をもたらす効果があった。地域間交流や移住者を呼び込む施策を競う呼び水にもなった。少子化と過疎化が深刻の度を増しているいま、国が音頭をとる横並びの地域政策に頼る時代ではあるまい。行政以外にも智恵のある人は地方にいくらでもいる。商工会議所も大いなる気概を示すときである。

(文章ラボ主宰・宇津井輝史)

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