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コラム石垣 2019年6月21日号 丁野朗

5月下旬、令和元年度の日本遺産の認定結果が公表された。

▼新たに認定されたのは「北の産業革命『炭鉄港』」(北海道赤平市など)や、希少となった海女文化(三重県鳥羽市・志摩市)など16件。これで平成27年度からの累計は83件となった。日本遺産は国の観光ビジョンに基づき20年までにおおむね100件程度を認定することになっているが、いよいよ来年度が最後となる。

▼すでに5年目を迎えた日本遺産だが、既認定地域の取り組みには大きな格差も生まれている。「日本という国を象徴する百の物語」というのが私の日本遺産解釈だが、その物語が地域活性化にどこまで生かされているのかが問われている。地域活性化に際して特に注目するのは次のような点である。

▼一つ目は「物語の見える化」である。物語に描かれた風景や事象が、きちんと体感・体験できるかどうか。この整備がおろそかで、海外も含め遠方から旅する人々の期待を裏切る結果となっては持続的な観光にはつながらない。二つ目は「物語手法による新たな産業創造」である。観光はもとより、長期的には関連サービス業や製造業、農林漁業などを含めた多様な地域産業の創造が求められる。日本遺産は地域ブランドであり、これを生かす取り組みが必要である。三つ目は、日本遺産はテーマ性が重視される。だから、テーマに呼応する「顧客像」がきちんと捉えられていることが重要である。不特定多数を対象とする従来型の観光とは一線を画すことになろう。

▼元々日本では、文化財をはじめ、魅力的な資源が十分に生かされてこなかった。日本遺産は、地域文化財などの抜本的な活用手法が試されている。各地の創意工夫にさらに期待したい。

(東洋大学大学院国際観光学部客員教授・丁野朗)

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