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コラム石垣 2019年7月1日号 中村恒夫

同一労働同一賃金制度を盛り込んだ改正労働関連法が2020年4月に施行される。厚生労働省は昨年末にガイドラインを通じて順守すべき規準を例示した。どの会社も対応策を検討している最中だろう。

▼一方で「ガイドラインでは解釈に困る手当や人事慣行がある」と悩む企業も少なくない。さまざまな手当は個々の企業の労使交渉を通じて実現したものが多い。導入に当たっては、時代背景や会社の経営状態などの要素が絡むだけに、同一労働同一賃金の考え方になじまない場合もあるようだ。判断に迷ったら社会保険労務士や都道府県に設置された「働き方改革推進支援センター」に相談するよう、同省は呼び掛けている。

▼「今回の制度改革はビジネスチャンスにもなる」とベンチャー企業経営者は話す。人手不足の中で、企業は熟練労働者を囲い込むため、非正規社員を正社員に登用する動きを拡大させている。半面、長期的な昇給を伴う正社員化は、企業の固定費増加につながり、経営を圧迫する恐れがある。そこで、非正規社員の新規雇用を中止し、業務を外部に委託するケースが増えてきたとされる。内容は運送やシステム管理から、経理の計算実務、勤怠管理など多岐にわたる。こうした業務を分社化していた企業はあるが、単なる子会社では親会社と同じような労使関係を求められる事態を考慮。資本関係のない企業に外出ししているのだ。

▼受注する企業は「年功序列的な賃金体系にはしない。ワークライフバランスを重視して主婦層を採用すれば、人件費は抑えられる」という。大きな制度変更を負担と受け止めるだけでなく、企業の構造改革や、新たな商機につなげる。そんな前向きの姿勢が求められる。

(時事通信社常務取締役・中村恒夫)

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