高知県土佐清水市は、四国の南西部に位置しています。空港、高速道路、鉄道などがなく、日本で一番不便かもしれませんが、青い空・海などの豊かな自然に恵まれ、黒潮接岸地があることもあり、新鮮な魚介類がたくさん水揚げされます。また、足摺宇和海国立公園や、公園内にある日本初の海中公園の指定を受けた竜串海中公園(海域公園)などの素晴らしい景観が数多くあります。そして、当地は幕末に日米の懸け橋となったジョン万次郎こと中浜万次郎が生まれたまちでもあります。
私もこの土地で生まれ育ちました。学生時代はスポーツに力を入れ、高校時代にはインターハイの相撲で優勝し、早稲田大学では、レスリング部に入部。オリンピックの強化選手にも選ばれました。このことが当時、日本レスリング協会の会長だった八田一朗参院議員の目に留まり、大学卒業後は秘書を務めることになりました。ちょうどそのころ、当地では「ジョン万次郎の銅像」を建てたいという話が出てきており、私にも相談がありました。八田議員からは、三菱グループの関係企業などを紹介いただきました。グループの創設者である岩崎弥太郎氏と万次郎の関係について必死に調べ、毎日のように訪問を繰り返した結果、何とか銅像の建立実現にこぎ着けました。
その後、私は企業経営に携わるようになりますが、万次郎ゆかりの米国フェアヘーブン・ニューベットフォード姉妹都市友好協会の会長となるなど、万次郎との縁は続きました。近年、万次郎に関する本が出されるなど、その知名度・注目度が上がってきました。私は、これを地域の活性化に活用すべきだと思いましたし、知名度をさらに向上させるべきだと主張しました。
この結果、平成24年には、商工会議所などの経済界が中心となって、「ジョン万次郎NHK大河ドラマ化実現発起人会」を設立。さらにこの機運を高めるため、「実行委員会」もつくりました。名誉会長を県知事、会長を県商工会議所連合会会頭に務めていただいています。皆さまには、大河実現に力を貸していただきたいと思います。
私は今後も万次郎をはじめとする歴史的観光資源を輝かせ、地域活性化に結び付けるよう努力していきます。また、地域とともに歩む企業の経営を通じ、〝日本一不便な土佐清水〟の地位を向上させていきたいと考えています。
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