私のふるさと高砂市は、「高砂やこの浦舟に帆をあげて……」と祝いの席でおなじみの謡曲「高砂」発祥の地です。兵庫県南部の播磨平野に位置し、東には1級河川「加古川」が流れ、南には瀬戸内播磨灘を望み、古くから白砂青松の風光明媚な泊として栄えてきました。
また、豊富な用水や埋め立てに適した遠浅の海岸など製造業の立地条件に適し、戦前から機械・製紙・化学・食品・電力などの大企業が進出。播磨臨海工業地帯の中核都市として発展してきました。
名所旧跡としては、「高砂神社」や堀川周辺の街並み、日本三奇の一つ「石の宝殿」などが知られ、特産品には「あなご」や姫路城の石垣にも使われた「竜山石」、そして江戸時代の献上品「高砂染」などがあります。また、市内各神社の屋台が練り出す秋祭りには多数の見物客が訪れます。
さて私は、本年7月に創業84年目を迎える会社の三代目です。弊社は時代の変化に対応し主体的に業態を変え、現在に至っています。祖父が材木店を創業し、父は建築業へと多角化を試みました。
折しも創業50周年。家電メーカーを退職後、後継者として入社した私は、全く経験の無かったホームセンターやドラッグストアという小売業に進出しました。多店舗展開を図り、年商100億円、従業員600人まで業容を拡大。しかし、レッドオーシャンの苛烈な競争の先に将来像が描けず、ブルーオーシャンの新規事業を立ち上げつつ、雇用を守りながら既存事業の譲渡を断行するという「第4の創業」に突き進みました。
新しい事業テーマは「豊かなコミュニティーづくり」。未開拓市場のサービス業に挑み10年を費やして、現在は女性専用フィットネスを24店舗、生活雑貨店2店舗、バイリンガル幼児教室2校、そして3つのショッピングモールを展開しています。
私の座右の銘は「未来を信じ未来に生きる」です。母校立命館大学の末川博名誉総長の言葉です。「不戦の誓い」と「平和と民主主義」を一言に凝縮したという深い意味までは認識していなかったものの、家業を継いでからというもの、この言葉に支えられてきました。私のこれまでの人生は、まさにこの実践の日々でした。
会頭を拝命して1年余り、「未来に帆をあげて、いい商工会議所をつくりましょう」をスローガンに掲げ、今度は地域経済の発展に未来志向で臨み、次世代に夢を引き継ぎたいと思っています。
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