日商 Assist Biz

更新

コラム石垣 2016年11月21日号 中村恒夫

有効求人倍率が「1」を大きく超えているのに思ったような職がなかなか見つからない。いわゆる雇用のミスマッチが指摘されるようになって久しい。正社員だけでなく、非正規雇用であっても同じことが言える。ブラックバイトに引っかかるのは怖いし、よく分からない職場に派遣されるのは嫌だという声も聞く。意欲はあっても職に就いていない人たちが働き始め、そこで得た賃金を消費に回すようになれば、少子高齢化に伴う経済縮小という悪い流れに一定の歯止めをかける効果があるはずだ。

▼「一億総活躍社会に貢献できる」と意欲的なのは、エニタイムズ社の角田千佳社長。同社はインターネットを通じて個人や法人の間で「掲示板」的に業務を受発注するためのプラットホームを提供。仕事の内容や報酬を明示した求人を見て、認定サポーターが応募する仕組みだ。角田社長は多様な働き方が広がる一方で「高齢者世帯や共働き、単身赴任者が増える中で、ちょっとした手助けへのニーズが増えている」と指摘。実際、荷物運びや車椅子利用者の散歩手伝いなど需要は幅広い。社長自身が視覚障害者の介助をした経験から「資格がなくてもできる仕事はたくさんある」と話す。

▼同一労働同一賃金の実現や配偶者控除の扱いは、言うまでもなく重要な課題だ。ただ労働力を増やそうとするのならば、子育て中の母親や年金受給年齢に達した世代の中に「短時間でも働きたい」という要望が少なからずある点に注目すべきではないか。無償のボランティアではなく、労働の対価として報酬を得ることを通じて、社会の一員だとより強く実感できるだろう。潜在労働力を引き出す仕組みづくりが、今こそ求められている。

(時事通信社取締役・中村恒夫)

次の記事

コラム石垣 2016年12月1日号 中山文麿

中山文麿・政治経済社会研究所代表

先月、ドナルド・トランプ氏が次期アメリカ大統領に選出された。安倍晋三首相は急きょ彼と面談し、友情と信頼関係を構築することでお互いに確認し...

前の記事

コラム石垣 2016年11月11日号 丁野朗

公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長・丁野朗

昨年は、外国人観光客による消費が大幅に増加した。2015年の訪日外国人消費額は約3・5兆円に達し、前年の約2兆円に比べ72%増となった。その過半は...

関連記事

コラム石垣 2021年10月1日号 中村恒夫

時事総合研究所客員研究員 中村恒夫

来年に予定される韓国の大統領選では、有力候補の1人がベーシックインカム(最低限所得保障制度)の導入を主張している。日本でも選挙公約に盛り込...

コラム石垣 2021年9月21日号 丁野朗

日本観光振興協会総合研究所顧問 丁野朗

観光にとって地域の文化財や文化資源の重要性は改めて指摘するまでもない。▼昨年5月に制定された文化観光推進法は、博物館・美術館などのミュージ...

コラム石垣 2021年9月11日号 宇津井輝史

コラムニスト 宇津井輝史

人を外見で識別するのは顔である。コロナ禍では、顔という個人情報がマスクで守られる。顔は多くの動物にある。食物の摂取機能からみて顔の始まり...