コラム石垣 2016年3月21日号 宇津井輝史

またしてもあいまいさが問題になった。リオ五輪のマラソン代表選考基準である。女子の場合で経過を追うと、2月の大阪国際で福士選手が優勝。陸連の設定タイムをクリアする見事な勝利。だがこの時点で陸連がリオ「内定」を出さなかったのを理由に、福士サイドは最後の選考レースとなる3月の名古屋にも出場を示唆。結局取りやめたが、不透明な選考基準に翻弄される選手という構図で陸連が批判にさらされた。福士選手は世論を味方につけ、確かに陸連に問題を提起した。だが、そもそも陸連の基準はあいまいだったのか。

▼マラソンは特に実績がものをいう。代表3枠は、昨夏の世界陸上とその後の国内指定レースでの順位や記録などを総合的に判断して決める、という基準自体は明確だ。内定を出したくとも、世陸以外、全レースを終えてから発表するルールだからそれはできなかった。どのレースに出るかは自由だから、心配なら最後の大会に出る選択肢はどの選手にもある。

▼陸連に限らず、いかなる競技団体もメダルを取れそうな選手を五輪に出したい。では勝てる選手をどう選ぶか。最後は人が決めるからあいまいになる、と世論は言う。ならば誰にも分る一発勝負で選考すれば強い選手を選べるか。バルセロナ五輪のときの3枠目は、タイムより実績重視で送り込んだ選手が見事銀メダルを取った。だが、タイムで上回るもうひとりの選手が出ていたら金を取らなかったとは言えない。逆に一発選考なら、シドニー金の高橋選手も選ばれなかった可能性がある。

▼ルールに問題があるなら変えればいい。だが選考というのは人事である。総合的に判断するのは当たり前だ。完全に透明で誰もが納得する人事などあるまい。

(文章ラボ主宰・宇津井輝史)

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