資源エネルギー庁はこのほど、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に基づいて、2017年度の電力利用者が負担する賦課金単価と新規参入者向け買取価格を決定した。賦課金単価は電力1kWh当たり2・64円と5年連続上昇し、当初の12倍となった。新単価は5月分の電気料金から適用される。
再生可能エネルギーの買取費用は、電力の利用者が電気料金で負担する。政府は、毎年度の買取費用を想定した上で、電気料金に上乗せする賦課金の単価を算定。2017年度から新たに運転を開始する再エネ発電設備の増加などの要因で、17年度は買取費用を4045億円増の2兆7045億円(16年度は2兆3000億円)と見込んでいる。
これにより、月間使用量300kWhの家庭では、電気料金上乗せ分は月額792円で、16年度に比べ117円の負担増。年額では上乗せ分は9504円で、1404円の負担増となる見込みとなっている。
一方、17年度の新規参入者向け調達価格のうち、10kW以上2000kW未満の非住宅用太陽光は、16年度の24円/kWh(税抜き)から17年度は21円/kWh(税抜き)に引き下げられた。2000kW以上の非住宅用太陽光は、入札制に移行し、落札した価格が買取価格となる。
10kW未満の住宅用太陽光(出力制御対応機器設置義務なし)は、16年度の31円/kWhから17年度は28円に引き下げられた。その後の18、19年度についてもそれぞれ、26円、24円に引き下げられることが決定した。
FITは、毎年、当該年度の賦課金が前年度までの賦課金の上に積み重なっていく制度。今回から、一部の電源について複数年度の調達価格を設定することが可能となったが、日本商工会議所では、「海外・国内の双方におけるコストの動向などにより、将来の買取価格とその時点における適正な買取価格との間に乖離(かいり)が発生する可能性がある。その乖離を放置した場合、根拠に乏しい国民負担が発生し、国民負担の抑制が実現できない」と懸念を示しており、将来の買取価格を見直すことができる仕組みを求めている。
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