久留米商工会議所(福岡県)は4月29日、世界196カ国の国々を表現した着物を制作する「KIMONO PROJECT」の100カ国完成披露式典を開催。九州各県の高校生らがモデルを務め、会場を盛り上げた。同プロジェクトでは、東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年に向け、全ての国の着物完成を目指す。久留米市の老舗呉服店の提案をきっかけとして14年夏に始まり、現在、活動は全国に広がっている。
今回の式典は、全ての着物の完成と、2020年へ向け同プロジェクトを盛り上げていくために企画。ご当地グルメなどを楽しめるイベント「くるめ合衆国まつり」と同時開催した。
若い世代に着物に関心を持ってもらおうと、式典に登場した100人のモデルのうち、約50人は九州7県の高校生を起用した。生徒たちは、3月から歩き方やポーズを練習。担当した国について各自学んだ上で本番を迎えた。式典では、オリンピックの開会式を模し、ギリシャを先頭にアルファベット順で入場して着物を披露した。
国によって差が出ることを防ぐため、1着の制作費は約200万円と決められている。費用は市民の寄付や、企業、団体からの協賛で賄ってきた。西陣織や加賀友禅、博多織など全国各地の織元の職人が参加し、各国の歴史や自然をテーマに、イメージに合った色やデザインに仕上げた。
同プロジェクトは、教育や国際交流への貢献も目指す。学校が着物づくりに参加することで、児童・生徒は自然と自国の伝統や相手国の文化を学ぶことができる。また、15年のミラノ万博では、同プロジェクトで制作した着物を着てパレードや日本政府主催公式レセプションに参加し、国際交流を後押しした。
同プロジェクトは経済界の賛同も得ており、九州商工会議所連合会などが共同で、今年1月に「KIMONO PROJECTを応援する会」を設立した。今後、PRや協賛金集めなどに協力する。
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