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スポーツライター 青島健太の注目アスリート ホークス独走優勝の裏にある 工藤流チームマネジメント術

写真提供:産経新聞

福岡ソフトバンクホークスがパ・リーグ史上最速、9月17日にリーグ優勝を決めた。本稿締め切りの前日である。ということは、おそらく過去のパ・リーグ優勝チームの中でも、本誌最速の登場と言うことになるだろう(笑)。まさか9月の、この時期に優勝チームの原稿を書くとは思わなかった。

マジック1で迎えた埼玉西武ライオンズ戦。この日も破壊力抜群の打線が先発・武田翔太を援護し、5対3でライオンズを沈めた。満員のヤフオクドームで宙を舞う工藤公康監督。就任1年目でぶっちぎりの優勝は、見事と言うしかない。

ホークス優勝の原動力は、もちろん攻守における選手たちの活躍だ。3番柳田悠岐がトリプルスリー(打率3割6分6厘、32本塁打、30盗塁)をやってのければ、4番内川聖一が出場全試合で4番を務め、5番李大浩も29本塁打を放った。6番のチームリーダー松田宣浩も34本塁打の大暴れ(17日現在)。投手陣もこの日の武田をはじめ寺原隼人、中田賢一、スタンリッジ、バンデンハークといった先発陣がゲームをつくり、後ろは五十嵐亮太とサファテがしっかりと守った。誰が出場してもみんながその役割をこなす。個々の活躍に加えて選手層の厚さでも他チームを圧倒していた。

それは的確な補強や育成面の充実といった球団主導の取り組みの成果とも言えるが、忘れてはいけないのが、工藤監督のチームマネジメントだ。シーズン中、工藤監督から聞く話は、いつも同じだった。「僕の仕事は、選手たちを最高のコンディションでグラウンドに送り出すだけですから。あとは選手に任せる以外にない」。夏場には、こんなことも言っていた。「この暑さの中で野球をやり続けたら、どんな選手でも痩せてしまう。この時期に大切なことは、たくさん食べることと練習をやり過ぎないことなんです」

選手任せの放任ではない。試合前の工藤監督は、いつでも選手と談笑している。会話を通じて彼らのコンディションを把握しているのだ。1軍は戦いの場。細かいことを言っても仕方がない。彼らを信じて良い状態で送り出す。それが「勝つためにやるべき準備だ」とも言っていた。豊富な戦力を見事に使い切る。その裏には、選手の力を最大限に引き出す工藤流のコンディション優先主義が見事に機能していた。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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