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こんなときどうする会社の法律Q&A 【今月のテーマ】 産業廃棄物処理についての留意点

Q 産業廃棄物の不法投棄が問題となっていますが、廃棄物を排出する事業者の産業廃棄物に関する規制とは、どのようなものでしょうか。また、廃棄物処理法に違反した場合、どのような制裁があるのでしょうか。

A 事業活動で生じた燃え殻、汚泥、排油など「廃棄物処理法」に定められた廃棄物を排出する場合は、適切な処理業者に委託し、処理委託契約書に定められた規制を順守する必要があります。不法投棄は行政処分として投棄物除去を命じる措置命令の対象となるだけでなく、懲役や罰金などの刑事罰に処される場合があります。生活環境上の被害者から不法行為に基づく損害賠償を求められたり、法人役員については損害賠償責任を追及されたりすることもあります。

産業廃棄物とは

事業活動で生じた廃棄物のうち、廃棄物処理法(以下「法」)で定められたものを産業廃棄物(以下「産廃」)といいます。事業者が排出する燃え殻、汚泥、排油、廃プラスチック、(ゴム・金属・ガラス・コンクリート)くず、がれき類などは業種に限定されず法の規制対象となります。建設業の紙や木くず、畜産業では動物のふん尿や死体、さらに処理の全工程で厳格な管理が必要な特別管理産廃は、医療系ごみ、石綿、高濃度の酸やアルカリ、毒性の強い液体などが指定されています。

なお、取引価値のある有価物は産廃に該当しませんが、その判断は総合的に考慮するため、安易に有価物と判断するのではなく、行政庁への確認が必要です。

排出事業者の責務

産廃排出事業者は自らの責任で適正に処理を行う義務があります。これは努力義務と解されますが、排出事業者が措置命令の対象で刑事罰も設けられていることを考慮すると、単なる努力義務にとどまらないといえます。なお、前提として法では全ての人へ投棄や焼却を禁止しています。

排出事業者の産業廃棄物に関する規制

産廃の規制には、保管基準と収集・運搬・処分に関する基準が定められています。

保管基準では、生活環境上の支障がないように産廃を分別し、事業場の一画に看板を設置し保管することが求められます。

また収集・運搬・処分を委託する場合は以下が求められます。

①産廃処理業の許可を有する業者に委託する

②許可の範囲で委託する

③処理の状況を確認する

④委託契約を書面で作成する

⑤契約書は契約終了の日から5年間保存する

⑥特別管理産廃を委託する場合は、あらかじめ種類・数量・性状など必要な事項を委託先に文書で通知する

なお、④は中間処理業者・最終処分業者とそれぞれ締結しなければならず、処理委託契約に基づき産廃を引き渡す際に産廃管理票を交付する必要があります。これは、第三者への委託により産廃の運搬・処分を行う場合の最終処分までの流れを管理する目的です。また、排出業者は産廃処理業の許可を受けた業者に委託しただけでは注意義務を果たしたとはいえず、処理業者の適正性も判断する必要があります。

廃棄物処理法に違反した場合

法に違反した場合、行政の改善命令や措置命令の対象となるとともに刑事罰に処されることがあります。なお、不法投棄や不法焼却、委託基準違反などは個人に加え法人も罰せられる両罰規定です。また、排出業者は民事上の損害賠償債務を負う可能性があります。

例えば、不法投棄や処理状況の確認などを怠って汚染や生活環境上の被害者から不法行為責任を追及されたり、産廃を埋め戻し材として販売し回収を余儀なくされた会社が被った損害について、訴訟で取締役の責任を追及され、第一審で巨額の賠償責任が認められた事例もあります。

(弁護士・山本 正)

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