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こうしてヒット商品は生まれた! li'ili'i(リィリィ)®

色とりどりのフルーツを中に閉じ込めた「フルーツキャンディバーソープ」各1100円(税込)。ほかにも「フラワーキャンディバーソープ」「カップケーキソープ」「シェルソープ」「アルファベットソープ」など多彩なラインナップで、どれも欲しくなる

特例子会社として2010年に設立したリンクライン。当初よりせっけんの製造・販売を主事業とし、機械では表現できないフォトジェニックな商品づくりに取り組んできた。そんな同社が初めて手掛けた自社ブランドせっけん「リィリィ®」が今、多くの女性ユーザーを虜(とりこ)にしている。しかし、この商品が日の目を見るまでは、行ったり来たりの長い道のりがあった。

視察先で黙々と仕事をする障がい者の姿に触発

実に‶映える〟商品だ。フルーツや花などのモチーフを閉じ込めた、キャンディバー型ソープである。本物と見まごうリアルで色鮮やかなモチーフは、全てせっけんで形づくってからカットし、本体の中に入れて固めている。それぞれの中身に合わせた豊かな香りが楽しめる上、素材は純植物性で肌にも優しい手づくりせっけんだ。

同商品を製造・販売するのは、神奈川県小田原市にあるリンクラインだ。同社は情報処理サービスを主事業とするコムテックの特例子会社として、2010年に設立。従業員数34人中、障がい者は27人で、知的障がい者を筆頭に精神障がいや身体障がいなど、さまざまな特性のある人を雇用している。

同社は立ち上げ当時、事業内容が固まっていなかったこともあり、どんな人を雇えばいいのか苦慮していた。そこで同様の会社を視察して回る中、長野県佐久市にある有限会社「ねば塾」と出合う。ここは人と自然に優しいこだわりのせっけんを手づくりしていて、従業員の大半が知的障がい者だった。

「それまで僕は、知的障がいがあったら働けないだろうと思っていましたが、まったくの誤解でした。皆、誰に指示されるでもなく、自分の仕事を黙々とこなしているんです。そこで当社も障がいの特性ではなく、本人のキャラクターで採用することにしました」と同社社長の青野真幸さんは振り返る。

特例子会社は、親会社の事業の一部を切り分けて請け負うケースが多いが、同社は「どんな事業をやってもいい」と言われていたそうだ。そこで青野さんは「ねば塾」での体験から、せっけんづくりを主事業にしようと決めた。

利益の薄いOEM生産から自社ブランドづくりへ

それからは紆余曲折の日々だった。同社会長の神原薫さんが主にデザインを、青野さんが営業を担当する形で船出したが、そもそも製造技術がない。そのため最初は、白地のせっけんに赤いハートマークや動物マークを付けたシンプルなものをつくっていた。

「それらを抱えて東京に売り込みに行きました。もちろん売れません。たまに置いてくれる店が見つかっても、販路は広がりませんでした」

売れるせっけんをつくろうと次に目を付けたのが、当時建設中だった東京スカイツリーだ。早速、スカイツリーのモチーフが入った半透明のせっけんをつくり、販売許可は得たものの、置いてもらえる店が見つからなかった。

しかし、このスカイツリーせっけんが同社の運命を変える。イベント時のPR用に活用していたら、かつて大手雑貨店に勤めていたという人物の目に留まり、「これがつくれるなら、キャラクターせっけんをつくってほしい」と依頼されたのだ。そのキャラクターがムーミンだった。

「もちろん、二つ返事で引き受けました。ムーミンは割と形が単純ですが、スナフキンは複雑なのでつくるのが難しく、本音を言えば赤字でしたが、いい勉強になりました」

それを機に同社は、利益の出にくいOEM生産から自社ブランドづくりへと舵(かじ)を切る。偶然見かけたフルーツ入りアイスキャンディーをヒントに、カラフルでかわいい見た目のせっけん「リィリィ®」を開発。それがPLAZAや東急ハンズ、ロフトなどの大型店で扱ってもらえることになり、16年4月の販売開始後、爆発的な売れ行きを示した。

障がいのある従業員が自立できる会社に

リィリィ®づくりは、一筋縄ではいかなかった。従業員につくり方を教えるには、多くの時間と根気が必要だった。デザインが複雑になるほど覚えるのに時間が掛かるため、モチーフの形を極力シンプルにするなど工夫に工夫を重ねた。そうしてようやくマスターしても、しばらくすると忘れてしまう場合もある。すると、またゼロから教えていくことの繰り返しだ。

「それでも覚えたことをやり続ければ、彼らは本来根気強いので、僕なら音を上げそうな数をちゃんとやり切るし、仕上がりもいい。障がいがあってもできないことはほとんどありません。根気強く育てて、待つことが重要なんです」

地道な育成の結果、現在リィリィ®シリーズは200種類以上、その他当社が手掛けたせっけんを含めると1000種類を超え、多いときで月間2万個も売れているそうだ。好調な売れ行きを後押ししているのは、昨年から営業窓口を担当している女性管理スタッフだ。女性目線を生かしてインスタグラムなどを活用しながら、販路の新規開拓に取り組んでいる。

「コロナ禍では、衛生管理を徹底したほか、分散出勤の実施、掃除や食事のとり方にも工夫をしました。ぜひ、このせっけんで感染予防しながら、改めて手洗いの大切さを学び、習慣にしてもらえたらと思います。また、このような状況下でも、障がい者は社会の一員として社会貢献できることも知っていただきたいです。今後は、従業員たちが自分で考えたものをつくらせてあげたいですね。粘土細工が得意な子もいるので、十分可能だと思うし、そうした中で仕事に自信や誇りを見出してほしい。そして僕の役割は、彼らがやがて自立して生活できるだけの会社にすることです」と強い意志をのぞかせた。

会社データ

社名:株式会社リンクライン

所在地:神奈川県小田原市穴部547-2

電話:0465-22-4217

HP:http://www.linkline.co.jp/

代表者:青野真幸 代表取締役

設立:2010年

従業員:34人

※月刊石垣2020年7月号に掲載された記事です。

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