白いちりめんと交じり合う、赤や緑や茶色たち。和柄を思わせるこの一袋一袋が愛おしい。赤は「海老ちりめん」。ちりめんの中に小エビが散って、ふっとゴマの香りがする。緑は「広島菜ちりめん」。広島菜の味と食感がちりめんと妙にマッチする。そして、茶色は「山椒ちりめん」。わが家のお茶漬けになくてはならない味で、袋を開けるたびに食卓も心も華やかになる。
これら「味付ちりめん」の製造元は天明6(1786)年、尾道で創業した老舗・福利物産。「北前亭」はその直売店だ。尾道は江戸時代、北前船が往来し、瀬戸内の中でも特ににぎわった港まち。福利物産は代々ここで海産物商を営み、六代目が船方衆のちりめん料理などにヒントを得て「味付ちりめん」を考案した。
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