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「下町育ちの再建王」の経営指南 『見投資力』を考える

本誌2017年10月号で記しましたが「現状維持は堕落である」と私は考えています。特に変化の大きい時、変化が目の前に迫っている時には何かを準備しないと手遅れになってしまいます。

では、見通しある有効投資をするために、また、リスクの少ない投資をするためには、何に注意すればよいのでしょうか。私はこの能力のことを『見投資力』と呼んでいます。中島セイジ氏の造語です。

まず、無駄・無意味な投資をしないことです。次に、投資リスクを少なくするためのリスク回避力が重要で、それには7つのファクターがあります。

①人を見る力を持つこと。

これは人と会った時、相手が何を考えているかを言葉や文章ではなく、目の色とかしぐさで素早く見抜く力で、この能力を“素頭”と呼びます。これに対して、記憶力や計算力などを“地頭”と呼びます。学校では全くダメだった人が社会に出て頭角を現すのはこの“素頭”の良い人で、人と人の間の温度を上げる能力を持っているのです。

②危険・危機を察知できること。

後始末は何事も時間と費用がかかるので、前もって予測して未然に防ぎたいものです。私はこれを“前始末”と呼んでいます。

③対処、手立てを講じること。

経験による予測と準備が重要です。

④引き返す勇気があること。

優秀なトップの最大の能力は朝令暮改できることです。社内で発表した直後でも、尊敬する人に教えられ、それが正しいと感じたら、考え直す力が必要です。

⑤人的ネットワークがあること。

トップの人脈が企業を救うことは多々あります。

⑥リーダーシップがあること。

リーダーシップは上から引っ張る場合と下から支える場合があります。どちらのタイプでもリーダーはリーダーとしての役目を果たすことです。

⑦大局を見る目を持つこと。

「着眼大局、着手小局」という言葉がありますが、舩井幸雄氏は同じ意味で、「マクロを見てミクロの手当てをする」と言いました。リーダーにとって必要不可欠な資質です。

また、投資を選択するには、自社のみならず周囲の失敗を含めた経験を生かし、方向性を正してください。相次ぐ大企業の失態の多くは、サラリーマン社長が現場離れした経営に終始していることに起因しています。リーダーにとって現場経験は最大の財産です。常に現場目線でものを見ることが、会社を健全に成長させる鍵です。

2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、時流の変革期が目の前に迫っています。2018年は投資に踏み切るべき時となるでしょう。しっかりとした『見投資力』を持って、未来投資をしてください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長(前 船井総合研究所 代表取締役会長) 昭和22年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。59年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。平成12年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。22年には代表取締役会長に就任。25年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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