消費者が分別排出する習慣。市町村の分別収集ルールと実施体制。事業者によるリサイクルの委託料金支払いと容器包装の減量や環境配慮設計の自主的な取り組み。これらの習慣や仕組み、取り組みは「容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集および再商品化の促進等に関する法律。以下、容リ法)」に基づいています。本稿ではあまり知られていない容リ法の概要や企業の役割を解説します(全3回予定)。
国土制約と資源制約
国土の狭いわが国では廃棄物の最終処分に適した場所は限られています。また資源の少ないわが国では廃棄物の資源性も重要です。容リ法制定(平成7年)当時、一般廃棄物(家庭から出るごみ)の量は増加の一途をたどり、一般廃棄物の最終処分場の残余年数はわずか8・5年と逼迫(ひっぱく)していました。一般廃棄物のうち、容器包装ごみは容積比で約6割、重量比で約2割を占め、その減量が急務でした。
わが国では廃棄物処理法によって一般廃棄物である容器包装ごみの処理責任は市町村が担っていました。最終処分量を減らすには、分別収集を進めリサイクルする量を増やす必要があります。しかし、資源価値が低い容器包装ごみは逆有償(処理費用を支払わなければ処分できない)となることが多く、費用負担がリサイクル推進を阻害していました。
事業者が再商品化の役割
そこで、容リ法では、市町村のみが容器包装ごみの処理責任を担う従来の考え方を改め、消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、特定事業者(容器の製造事業者・商品の供給に容器包装を利用する事業者。輸入業者を含む。小規模事業者を除く)がリサイクルする役割分担を定めました。
特定事業者には容器包装の種類(ガラスびん、紙製容器包装、ペットボトル、プラスチック製容器包装)ごとに利用・製造した量に応じてリサイクル(再商品化)する義務が課せられました。市町村が分別収集する容器包装は他に4種類(紙パック、段ボール、アルミ缶、スチール缶)ありますが、前者が逆有償物だったのに対し、後者は有価物だったため再商品化義務の対象とはなりませんでした。
特定事業者が容器包装ごみを自ら回収し再商品化することは難しく経済的でもありません。そのため、指定法人に委託して再商品化義務を果たすことが可能とされました。この指定法人が「日本容器包装リサイクル協会」です。 特定事業者は再商品化委託料金(再商品化実施委託料と拠出委託料)を支払うことによって、再商品化をしたものと見なされます。指定法人は市町村が容器包装ごみ(分別基準適合物)を保管する場所ごとに、あらかじめ登録された再商品化事業者の中から入札により事業者を選定します。再商品化事業者は、再商品化を行い利用事業者に販売します。
12月11日から申し込み開始
12月11日から特定事業者の平成30年度再商品化委託申込期間が始まります。28年度には8万827事業者から約380億円の委託料金が支払われました。
市町村から事業者へ責任の一部を移行し、役割分担を定めた点を指して、容リ法はEPR(拡大生産者責任)の考え方をわが国で初めて導入した法律と言われています。次号では容リ法の成果とEPRについて解説します。
(青山直樹・公益財団法人日本容器包装リサイクル協会企画広報部)
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