八王子商工会議所(東京都)は、工学院大学(八王子市および新宿区)との産学連携事業の一環として、同大学の先生や学生が地元中小企業に直接出向いて講義したり技術相談に応じたりする「出前研究室」を6月1日から実施している。これまでに5件の申し込みがあり、うち1件は、技術相談から共同製品開発へと発展した。
同事業は、昨年10月に同所と同大学が締結した包括連携協定に基づくもの。市内には多くの中小製造業があるが、技術的な課題解決のため大学との接点を持つ企業は少ない。また、市内には21の大学があるものの大学生の地元就職率も低いことから、商工会議所が仲立ちして企業と大学の接点をつくるのが目的だ。
今回、大学との共同製品開発へと発展したのは、農産物を練り込んだ麺の開発を目指す飲食店。専門家の意見やデータを活用し開発の方向性を見いだした。そのほか金属加工技術の改良など現在は技術相談が中心だ。同所内には技術分野のコーディネーターが常駐し、職員と共に相談内容にマッチする研究室を大学に照会し派遣する。同所は、「社員教育のため先端研究の講義をしてもらうなど人材育成面でも活用してほしい」と地元企業へ呼び掛けている。
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