日本商工会議所の三村明夫会頭は9日、訪問先の米国の北カリフォルニア日本商工会議所で講演を行った。三村会頭は、世界経済の不安要素として、①北朝鮮・中東などにおける地政学的不安、②反グローバリズムの動き、③中国の台頭―の3点を挙げた。その上で、「このような不安定な世界の中でこそ、日米関係は最重要の関係である。幸い米国経済の景気回復も相まって、わが国企業、特に中小企業にとって、米国は海外への進出先、投資先として再評価されている」と述べた。
また、「トランプ政権のさまざまな動きは世界に大きな混乱をもたらし、貿易戦争に発展する可能性もあるにもかかわらず、最近のジェトロの調査では、米国に進出している日系企業は、トランプ政権発足以降でも、情勢を冷静に受け止めているとの結果が出ている」と指摘。米国の貿易収支全体に対する対日貿易赤字比率が1992年の58・4%をピークに、2016年には約9・3%まで減少しているなど、他の調査結果からも「日米両国の経済関係は、極めて良好」との考えを示した。
今後の日本経済については、「日本再出発の扉を押し開くのも、われわれ『民の力』」と強調。企業経営者が将来に自信を持ち、デフレマインドやさまざまな不安を払しょくし、内部留保を前向きな投資に振り向け、新しい時代にふさわしい活動を積極的に展開していくようエールを送った。
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